暴力団対策法

第1 暴力的要求行為及び準暴力的要求行為

□ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年5月15日法律第77号。平成4年3月1日施行)(=暴力団対策法,暴対法)9条では,指定暴力団員が指定暴力団の威力を示して行う,以下の行為を含む27個の行為が暴力的要求行為として禁止されています。
① 人の弱みにつけ込む金品等要求行為
→ 企業や団体の不正な経営内容や異性問題のスキャンダル等,人に知られていない事実の宣伝又は公表にかこつけて,口止め料として金品等を要求する行為のことです。
② 高利債権取立行為
→ 利息制限法に違反する高金利の債権を取り立てる行為のことです。
③ 不当債権取立行為
→ 人から依頼を受け,報酬を得て,又は報酬を得る約束をして,債務者に対し,乱暴な言動を交えたり,迷惑を覚えさせるような方法で訪問したり,電話をかけるなどして債権を不当に取り立てる行為のことです。
④ 不当債務免除要求行為
→ 「ヤクザに金を払わせるのか」とか,「集金人が気に入らないから金を払わない」などと公共料金や家賃,飲食代等を支払わなかったり,支払を延ばしたりすることを要求する行為のことです。
⑤ 不当示談介入行為
→ 依頼を受け,報酬を得て,又は報酬を得る約束をして,交通事故等の示談交渉を行い,損害賠償として金品を要求する行為のことです。
⑥ 因縁を付けての金品等要求行為
→ 買った商品,受けたサービスの欠陥等を口実に損害賠償等の名目で,又は有価証券の売買で損害を被ったと因縁を付けて損失補てんを要求する行為のことです。
□ 指定暴力団とは,その暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団として,都道府県公安委員会が暴力団対策法3条に基づいて指定した暴力団のことです。
□ 指定暴力団の威力を示す行為としては,①指定暴力団に所属していることを告げる行為,②指定暴力団の名称入りの名刺を示す行為及び③指定暴力団のバッジ,代紋をことさらに示す行為があります。
□ 何人も,指定暴力団員に対し,暴力的要求行為をすることを要求し,依頼し,又は唆すことは禁止されています(暴力団対策法10条1項)。
また,指定暴力団員以外の者が,過去3年以内に中止命令を受けたことがあるにもかかわらず,指定暴力団の威力を示して暴力的要求行為をすることは,準暴力的要求行為として禁止されています(暴力団対策法12条の5)。
□ 平成20年8月1日施行の改正暴力団対策法により行政対象暴力に関する6つの行為が追加され,平成24年10月30日施行の改正暴力団対策法により取引要求行為に関する6つの行為が追加されました。

第2 暴力追放運動推進センター等

□ 個人の債権者から暴力団の利用を示唆された場合,ICレコーダー等で電話内容を録音した上で,公益財団法人大阪府暴力追放推進センター(中央相談室の電話番号は06-6946-8930)又は最寄りの警察署に相談することを勧めます。
保護の必要性を認めてもらえれば,警察署長(暴力団対策法42条3項参照)から暴力的要求行為の中止命令(暴力団対策法11条1項,12条2項)を発令してもらえます。
また,指定暴力団員が当該業務に関し更に反復して当該暴力的要求行為と類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは,都道府県公安委員会から,指定暴力団の代表者等に対して再発防止命令(暴力団対策法12条の2)を発令してもらえます。
□ 平成22年に発令された中止命令は全国で1422件でありますところ,その内訳の例は以下のとおりです。
① 人の弱みにつけ込む金品等要求行為に対する中止命令:5件
② 高利債権取立行為に対する中止命令:46件
③ 不当債権取立行為に対する中止命令:11件
④ 不当債務免除要求行為に対する中止命令:82件
⑤ 不当示談介入行為に対する中止命令:0件
⑥ 因縁を付けての金品等要求行為:28件
□ 都道府県公安委員会は,暴力的要求行為又は準暴力的要求行為の中止命令をした場合に,その暴力的要求行為又は準暴力的要求行為の相手方が加害者に対し被害回復を求めるに当たって都道府県警察本部又は最寄りの警察署に援助を受けたい旨の申出をしたときは,①加害者に対する必要な事項の連絡,②加害者の連絡先の教示,③被害回復交渉場所としての警察施設の利用といった必要な援助を行うものとされています(暴力団対策法13条参照)。
□ 大阪府は,暴力団事務所の使用の差止めの請求,暴力団員がした不法行為による被害に係る損害賠償請求その他の暴力団員に対する請求をし,又はしようとする者に対し,当該請求に関する情報の提供その他の必要な支援を行うものとされています(大阪府暴力団排除条例(平成22年11月4日大阪府条例第58号。平成23年4月1日施行)6条1項)。
□ 公益財団法人大阪府暴力追放推進センターというのは,大阪府に設置された都道府県暴力追放運動推進センター(暴力団対策法32条の2)(=都道府県暴追センター)のことです。
なお,全国組織としては,全国暴力追放運動推進センター(暴力団対策法32条の3)(=全国暴追センター)があります。
□ 中止命令への違反があった場合,指定暴力団員に対しては1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられ(暴力団対策法46条),暴力団を利用した個人の債権者に対しては1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます(暴力団対策法47条1号)。
□ 毎年の暴力団情勢については,警察庁組織犯罪対策部が毎年春に「平成○○年の暴力団情勢」として警察庁ホームページで公表しています。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。