離婚雑知識

第1 離婚に伴う慰謝料

□ 離婚に伴う慰謝料請求権は,相手方の有責不法な行為によって離婚せざるを得なくなったことにつき,相手方に対して損害賠償を請求することを目的とするものですから,財産分与請求権とはその本質を異にします(最高裁昭和31年2月21日判決)。
□ 離婚に伴う慰謝料の支払義務は,悪意で加えた不法行為に基づくもの(破産法253条1項2号)と認められない限り,自己破産における免責許可決定(破産法252条)をもらった場合,免責されます。
   ただし,DVに起因する慰謝料の場合,故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づくもの(破産法253条1項3号)と評価される結果,自己破産における免責許可決定をもらったとしても免責されない場合があります。
□ 離婚に伴う慰謝料は,心身に加えられた損害に起因して取得する損害賠償金に当たりますから,原則として所得税は発生しません(所得税法9条1項16号)。
□ 最高裁平成12年3月9日判決は以下のとおり判示していますから,離婚に伴う慰謝料があまりに過大である場合,詐害行為取消権の対象となります。
   離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意は、配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として発生した損害賠償債務の存在を確認し、賠償額を確定してその支払を約する行為であって、新たに創設的に債務を負担するものとはいえないから、詐害行為とはならない。
    しかしながら、当該配偶者が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち右損害賠償債務の額を超えた部分については、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約ないし対価を欠いた新たな債務負担行為というべきであるから、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。

第2 離婚調停の内容は現実的なものにしておく必要があること

□ 住宅ローンは金融機関との間で交わされた金銭消費貸借契約ですから,例えば,夫が住宅ローンの借主であり,妻が住宅ローンの連帯保証人である場合,夫婦が離婚をするからといって貸主である金融機関の承諾なく,妻が連帯保証人でなくなることはできません。
   離婚調停の話し合いにおいて,財産分与なり慰謝料なりといった名目で,妻が元の自宅に引き続き居住し,夫が元の自宅を出て行く旨の合意を成立させた場合,夫としては,①元の自宅の住宅ローン,及び②新たな自宅の居住費を負担することとなるため,経済的に大変な負担になります。
   その結果,将来,住宅ローンの延滞が発生し,(a)連帯保証人である妻に住宅ローンの延滞金の請求が来たり,(b)妻が居住している元の自宅が競売にかけられたりする危険が高くなります。
   よって,離婚調停の内容は,相手方の支払能力を考慮した現実的な内容にしておく必要があります。

第3 離婚届の不受理申出等

□ 離婚調停をしている最中に勝手に離婚届を出される可能性がある場合,本人確認書類及び印鑑を持参して市区町村役場に行き,離婚届の不受理申出の手続をご自身でしておいて下さい。
   不受理申出とは,届出によって効力を生ずる「婚姻届」,「協議離婚届」,「養子縁組届」,協議離縁届」,「任意認知届」については,自己を届出事件の本人とする届出がされても,自ら窓口に出頭して届け出たことを確認することができない限り,届出を受理しないよう申出をすることができる制度です(戸籍法27条の2第3項,戸籍法施行規則53条の4)。
   平成20年5月1日より前に手続をしたものの有効期間は6ヶ月でしたものの,平成20年5月1日以降に手続をしたものの有効期間は無期限となっています。
□ 平成20年5月1日以降,「婚姻届」,「協議離婚届」,「養子縁組届」,協議離縁届」,「任意認知届」を提出する場合,市区町村役場での本人確認が義務づけられるようになりました(戸籍法27条の2第1項,戸籍法施行規則53条・11条の3本文)。

第4 離婚後の親権

□ 未成年の子は,父母の婚姻中は父母の共同親権に服する(民法818条3項本文)ものの,その父母が離婚した場合,どちらか一方の単独親権に服することとなります(民法819条1項)。
そして,親権者は,①子の財産保護のための財産管理権,及び②子の身上監護(=子の身の回りの世話)のための監護権を有するのが通常でありますものの,両者が分離されることはあります(民法766条3項参照)。
離婚の際,父母のどちらが子の親権者となるかについて合意を成立させられない場合,家事調停(=親権者指定の調停)又は家事審判(=親権者指定の審判)を通じて親権者が決まることになります(民法819条5項,家事事件手続法別表第二の8項)。
□ 父母が離婚した場合,子の親権者が父母のどちらであるかについては,子の戸籍の身分事項欄を見れば分かります(戸籍法施行規則35条5号)。
□ 離婚をした後に親権者を変更する場合,親権者の変更について合意がある場合であっても,家事調停(=親権者変更の調停)又は家事審判(=親権者変更の審判)が必要になります(民法819条6項,家事事件手続法別表第二の8項)。
   ただし,親権者指定の合意が不存在又は無効である場合,①戸籍訂正の許可の審判(家事事件手続法別表第一の124項)を得た上で,戸籍法114条に基づき戸籍訂正の申請をすることで,親権者を変更できますし,②協議離婚をした元夫婦の一方は,他方を被告として,地方裁判所に対する通常訴訟として,親権者指定協議無効確認の訴えを提起することで,親権者を変更することができます(東京高裁平成15年6月26日判決参照。ただし,②の方法の適法性については争いあり。)。 
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3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。