離婚訴訟

第0 目次

第1 離婚訴訟で取り扱う事項等
第2 離婚訴訟の訴状の特徴
第3 家庭裁判所の土地管轄の特徴
第4 離婚訴訟における離婚原因
第5 離婚訴訟における参与員の関与
第6 不貞行為の相手方に対する慰謝料請求
第7 離婚訴訟における訴えの変更及び反訴の特例
第8 離婚訴訟における和解
第9 離婚の届出
第10 被告に対する送達が公示送達によることが見込まれる場合の取扱い

*1 大阪家裁HPの「人事訴訟事件について」には,離婚訴訟の進行等に関する協力依頼,訴状チェック表,公示送達を求める場合の留意点,住所の秘匿等について書いてあります。
*2 訴訟手続一般に関しては,「弁護士依頼時の一般的留意点」「陳述書」「証人尋問及び当事者尋問」を参照して下さい。

第1 離婚訴訟で取り扱う事項等

1 離婚訴訟の場合は通常,以下の事項が問題となりますところ,①については訴訟事項の関連請求として(人事訴訟法17条1項),②については裁判所の職権により,③ないし⑤については,離婚を認容する判決の附帯処分として裁判されます(人事訴訟法32条1項ないし3項)から,離婚訴訟の手続内で一括して解決できます。
① 離婚に伴う慰謝料(民法709条)
→ 法的性質は,不法行為に基づく損害賠償請求権となります。
② 親権者の指定(民法819条2項)
→ ③ないし⑤とあわせて,「附帯処分等」といいます。
③ 子の監護に関する処分(民法771条・766条)
④ 財産分与(民法771条・768条)
⑤ 離婚時年金分割(厚生年金保険法78条の2等)
⑥ 離婚訴訟係属中(=婚姻継続中)の婚姻費用の分担(民法760条)
→  ⑥の点は離婚訴訟では取り扱えないのであって,家事調停及び家事審判だけでの取扱いとなりますから,別居生活において婚姻費用の不払いがある場合,速やかに婚姻費用分担の調停を申し立てる必要があります。

2 ①親権者の指定,②子の監護に関する処分,③財産分与及び④離婚時年金分割は,本来は別表第二の審判事件であるものの,人事訴訟の附帯処分等として,人事訴訟の手続内で家庭裁判所に判断してもらうことができます(人事訴訟法32条)。

3 離婚請求等と同時に審理を行うことを求める附帯処分等の申立ては,事実審の口頭弁論終結時まで行うことができますものの,離婚等の訴え提起と同時に申立てをすることが多いです。

4 平成23年6月3日法律第61号(平成24年4月1日施行)による改正後の民法766条1項により,子の監護に関する処分の内容が以下のとおり明文化されました。
① 子の監護者の指定
② 父又は母と子との面会及びその他の交流(=面会交流)
→ 面会交流につき,平成21年7月以前は「面接交渉」という用語が使われていました。
③ 子の監護に要する費用の分担

5 子の監護について必要な事項を定める場合,子の利益をもっとも優先して考慮する必要があります(民法766条1項後段)。

第2 離婚訴訟の訴状の特徴

1 総論
(1) 離婚訴訟は,養子縁組に関する離縁訴訟,認知訴訟,親子関係存否確認訴訟等とあわせて,人事訴訟といわれます(人事訴訟法2条)。
   平成16年4月1日に人事訴訟法(平成15年7月16日法律第109号)が適用される以前は,地方裁判所が取り扱っていました。
(2) 平成21年に全国の裁判所が新たに受理した人事訴訟は10,817件であり,そのうち9,625件(89.0%)が離婚訴訟です。
(3) 訴状には,請求を理由づける事実について具体的に記載し,立証を要する事項ごとに,当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければなりません(民事訴訟規則53条1項)。
(4)   離婚訴訟については,当事者の戸籍謄本を添付する必要があります(人事訴訟規則13条)。
   なぜなら,離婚訴訟では,戸籍の届出又は訂正を必要とする事項に関する判決等の結果を戸籍事務管掌者(=市町村長)に通知し(人事訴訟規則17条,31条,35条),かつ,訴えを提起した者による10日以内の報告的届出(戸籍法77条1項・63条,77条2項)によって,戸籍の記載を行うことなどから,当事者の本籍の記載が必要となるからです。

2 附帯処分の申立て
(1) 離婚の請求と同時に,離婚に伴う附帯処分の申立て(親権者の指定については職権発動を求める申立て)をする場合,書面による必要があり(人事訴訟規則19条1項),その書面には申立ての趣旨及び理由を記載し,証拠となるべき文書の写しで重要なものを添付しなければなりません(人事訴訟規則19条2項)。
   そのため,①財産分与の申立てをする場合,不動産の分与を求めるのであれば,その形成過程,並びに寄与の程度及び割合を具体的に記載し,対象となるべき不動産の登記簿謄本等の資料を提出する必要があります。
②養育費の支払の申立てをする場合,当事者の収入状況を具体的に記載し,収入に関する資料(源泉徴収票,確定申告書等)を提出する必要があります。
③標準報酬等の按分割合に関する処分(年金分割)を求めるのであれば,「按分割合に関する情報通知書」の原本を提出する必要があります(人事訴訟規則19条3項)。
(2) 財産分与の申立てをする場合,①原告の管理する分与対象財産,及び②被告の管理する分与対象財産のうち原告が把握しているものについて,「分与対象財産一覧表」を訴状の別紙として提出することが望ましいです。
(3) 被告本人の現在の収入に関する資料を提出することができない場合,被告のこれまでの収入の状況,学歴及び職歴を説明することで,被告の現在の収入状況を主張立証することとなります。
(4) 年金分割の申立てをする際に,訴状又は附帯処分申立書に申立ての趣旨を記載する場合には,「原告と被告との間の別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定める。」というふうに記載します。
   その際,訴状又は附帯処分申立書に,当該情報通知書の写しを別紙として添付する必要があります。
   また,情報通知書は書証としても提出することが望ましいです(裁判所用に原本を提出し,被告用に写しを提出するわけです。)。

第3 家庭裁判所の土地管轄の特徴

1 離婚訴訟は,民事訴訟及び家事調停と異なり,被告の住所地の家庭裁判所だけでなく,原告の住所地の家庭裁判所ですることができます(人事訴訟法4条1項)。

2 家庭裁判所が離婚訴訟の土地管轄を有しない場合であっても,当該事件に前置される家事調停事件がその家庭裁判所に係属していたときには,調停の経過,当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは,申立てにより又は職権で自庁処理ができるとされています(人事訴訟法6条)。
   ただし,条文上,「特に必要があると認めるときは」とあるように,自庁処理は,合意管轄なり応訴管轄なりを許容しない離婚訴訟の専属管轄において例外的な措置ですから,単に家事調停事件が係属していたという事情(家事調停事件については合意管轄が認められているのであり(家事調停規則129条1項),それゆえ,自庁処理されることを目的に調停裁判所を合意するということも考えられないわけではないのです。)だけで,自庁処理が認められるわけではありません。

3(1) 家庭裁判所は,離婚訴訟の土地管轄がある場合においても,当事者及び尋問を受けるべき証人の住所その他の事情を考慮して,訴訟の著しい遅滞を避け,又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは,他の管轄裁判所に移送することができます(人事訴訟法7条)。
(2)   未成年の子がいる場合,移送に当たっては,その子の住所又は居所を考慮することとされています(人事訴訟法31条)。
   例えば,妻が子どもを連れて夫の元から実家に帰り,別居生活が始まったような場合に,夫が自宅所在地を管轄する家庭裁判所に妻に対する離婚訴訟を提起したとき,家庭裁判所は,婚姻住所,被告の応訴の負担,証拠収集,未成年の子の住所等を考慮して,妻の実家所在地を管轄する家庭裁判所に移送する可能性が大きいです。

4 離婚訴訟の土地管轄は専属管轄である点で当事者の住所地は厳格に審査されますから,戸籍謄本に加えて,住民票の提出を求められることが多いです。

第4 離婚訴訟における離婚原因

1 離婚訴訟における離婚原因一般
(1)   離婚訴訟において裁判離婚をするためには,民法770条1項が規定する,以下のいずれかの原因が必要となります(1号ないし5号の離婚事由ごとに訴訟物が異なることにつき最高裁昭和36年4月25日判決)。
①   配偶者に不貞行為があったとき(1号)
→    配偶者が,自己の自由な意思に基づき配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合,つまり,不倫をした場合です(最高裁昭和48年11月15日判決)。
②   配偶者から悪意で遺棄されたとき(2号)
→    例えば,(a)配偶者が正当な理由なく自宅を出て行った場合,(b)配偶者に家から追い出された場合,及び(c)配偶者から生活費を全くもらえない場合です。
③   配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(3号)
→   例えば,配偶者が蒸発して行方不明になった場合です。
   なお,配偶者の生死が7年以上不明である場合,失踪宣告(民法30条1項)をしてもらうことで,配偶者の財産を相続することができます(民法31条,882条)。
④   配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込がないとき(4号)
→   例えば,配偶者が強度の統合失調症(平成14年以前は精神分裂病といわれていました。)にかかった場合です。
   ただし,離婚される配偶者の今後の生活のめどが立たない限り,裁量棄却を定める民法770条2項に基づき,離婚請求は棄却されます(最高裁昭和33年7月25日判決,最高裁昭和45年11月24日判決)。
⑤   その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(5号)
→    平成16年4月1日から平成19年3月31日までの3年間に既済となった離婚等2045件に関する,東京家庭裁判所の統計(のべ件数であり,判別できるものだけが計上されています。)で多い順にいえば,
   (a)性格の不一致(626件),(b)暴力(544件),(c)異性関係(361件),(d)精神的虐待(321件),(e)生活費(257件),(f)長期間の別居(248件),(g)浪費(196件),(h)借金(135件),(i)親族との折り合い(130件),(j)性的不調和(82件)となっています。
→   5号の事由は,1号ないし4号の事由と併せて考慮されます。
(2)   被告が不貞行為を自認している場合なり,まさに不貞行為の現場なりを押さえた証拠を提出できない限り,不貞行為の存在を認定してもらうことは難しいのであって,興信所なり探偵社なりの調査書を提出したり,パソコン・携帯電話のメール等をプリントアウトしたものを提出したりしても,それだけでは通常,不貞行為の立証としては不十分です。
   そのため,1号の事由は,5号の事由とあわせて主張するのが普通です。
(3)   実務上,被告が離婚請求の棄却を求めていても,婚姻が破綻しているかどうかを争うものは少なく,実際の争点は損害賠償請求権の有無であることが多いです。
(4)   民法770条1項各号所定の離婚原因は,配偶者の意思に反して離婚ができる裁判離婚をする場合に必要となるに過ぎないのであって,協議離婚,調停離婚又は審判離婚をする場合,事実上,考慮されるに過ぎません。

2   有責配偶者からの離婚請求が認められる場合
(1)   最高裁平成16年11月18日判決は,以下のとおり判示しています。
1 民法770条1項5号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら又は主として責任のある一方の当事者(以下「有責配偶者」という。)からされた場合において、当該請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断するに当たっては、有責配偶者の責任の態様・程度、相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情、離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・経済的状態、夫婦間の子、殊に未成熟の子の監護・教育・福祉の状況、別居後に形成された生活関係等が考慮されなければならず、更には、時の経過とともに、これらの諸事情がそれ自体あるいは相互に影響し合って変容し、また、これらの諸事情の持つ社会的意味ないしは社会的評価も変化することを免れないから、時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮されなければならないものというべきである。
2 そうだとすると、有責配偶者からされた離婚請求については、①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいるか否か、②その間に未成熟の子が存在するか否か、③相手方配偶者が離婚により精神的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような事情が存するか否か等の諸点を総合的に考慮して、当該請求が信義誠実の原則に反するといえないときには、当該請求を認容することができると解するのが相当である(最高裁昭和61年(オ)第260号同62年9月2日大法廷判決・民集41巻6号1423頁参照)。
(2)   離婚訴訟において被告が請求棄却を求める理由は,以下の2つのケースに別れます。
①   婚姻の破綻そのものを争うケース
②   婚姻の破綻は認めるものの,原告は有責配偶者であり,本件離婚請求が信義誠実の原則に反するとして争うケース(最高裁平成16年11月18日判決参照)

第5 離婚訴訟における参与員の関与

1(1) 離婚訴訟のうち,有責性なり破綻の有無なりが問題となっている事案や,慰謝料の額が問題となっている事案では,まさに一般良識に基づく評価・判断を反映させるにふさわしいものであるとして,男女1名ずつの参与員が立ち会うことがあります。
参与員というのは,調停委員と同様に民間から選ばれた人であり,審理又は和解の試みに立ち会って裁判官に意見を述べる存在です(人事訴訟法9条)。
(2)   参与員の場合,調停委員と異なり,除斥,忌避及び回避の制度があります(人事訴訟法10条,人事訴訟規則7条)し,調停委員として関与した人は参与員に指定されない取扱いとなっています(人事訴訟規則6条)。

2 参与員は,人事訴訟法が平成16年4月1日に施行されたことに伴い,導入されました。

3 参与員を関与させるかどうかは,当事者の意向によるものではなく,家庭裁判所の裁量的判断にゆだねられているものです。
   そのため,当事者が参与員の関与を望まない場合でも,家庭裁判所がその必要があると認めるときには参与員を関与させることがある一方で,当事者が参与員の関与を希望していても家庭裁判所としてはその必要がないと認めるときには参与員を関与させないことがあります。

4 離婚訴訟の判決には,参与員が審理に立ち会い,その意見を聞いた旨が記載されますものの,参与員の氏名までは記載されません。

第6 不貞行為の相手方に対する慰謝料請求

1 慰謝料請求ができる場合
(1) 最高裁昭和54年3月30日判決は以下のとおり判示していますから,不倫をされた配偶者は不倫の相手方に対し慰謝料を請求できますものの,未成年の子が不倫の相手方に対し慰謝料を請求することは原則としてできません。
① 夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。
② 妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持った女性が妻子のもとを去った右男性と同棲するに至った結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなったとしても、その女性が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなど特段の事情のない限り、右女性の行為は未成年の子に対して不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。
   けだし、父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によって行うことができるのであるから、他の女性との同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被ったとしても、そのことと右女性の行為との間には相当因果関係がないものといわなければならないからである。
(2) 甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において,甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは,特段の事情のない限り,丙は,甲に対して不法行為責任を負いません(最高裁平成8年3月26日判決)。
   そのため,この場合,不貞行為の相手方に対し,慰謝料を請求することはできません。
(3) 甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となるのは,それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであり,甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には,原則として,甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないから,特段の事情のない限り,乙及び丙は,甲に対して不法行為責任を負わないと解されています(東京高裁平成23年2月17日判決)。
 
2 慰謝料請求権の消滅時効
   夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権については,一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から,それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行します。
   なぜなら,この場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は,同せい関係が解消されるまでの間,これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく,一方の配偶者は,同せい関係を知った時点で,第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるものではないからです(最高裁平成6年1月20日判決)。
   つまり,不倫相手に対して損害賠償請求をする場合,不倫関係を知った日から3年以内に訴訟提起する必要があるということです。
 
3 慰謝料請求権と破産免責
   破産法253条1項2号の「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は破産免責の対象にならないものの,ここでいう「悪意」とは,単なる故意ではなく,不正に他人を害する意思ないし積極的な害意をいいます(東京地裁平成15年7月31日判決,及び大阪地裁平成16年8月27日判決参照)
   そのため,例えば,不倫相手である乙が,既婚男性である丙との不貞関係を少なくとも約5年は継続し,かつ,丙とその妻である甲との離婚を確認することなく丙との結婚式を挙げたという事情があったとしても,甲に対し直接向けられた乙の加害行為がない限り,乙に対する慰謝料請求権は,破産免責の対象となります(東京地裁平成15年7月31日判決参照)。

第7 離婚訴訟における訴えの変更及び反訴の特例

1 離婚訴訟の判決が確定した場合,原告は,請求又は請求の原因の変更(民事訴訟法143条)により主張できた事実に基づいて改めて離婚訴訟をすることはできません(人事訴訟法25条1項)し,被告は,反訴(民事訴訟法146条)により主張できた事実に基づいて改めて離婚訴訟をすることはできません(人事訴訟法25条2項)。
   その代わり,離婚訴訟では,第一審又は控訴審の口頭弁論の終結に至るまで,①原告は,請求又は請求の原因を変更することができますし,②被告は,原告の同意を得ることなく,反訴を提起することができます(人事訴訟法18条)し,③時機に遅れた攻撃防御方法の却下(民事訴訟法157条)もありません(人事訴訟法19条1項)。

2 反訴の提起に関するこのような取扱いは,最高裁平成16年6月3日判決(先例として,最高裁昭和41年12月23日判決及び最高裁昭和58年3月10日判決参照)を明文化したものです。

第8 離婚訴訟における和解

1(1) 離婚訴訟を提起した後であっても,(a)訴訟外で協議離婚をしたり(人事訴訟法36条参照),(b)訴訟上の和解により和解離婚をしたりすることができます(人事訴訟法37条1項)から,離婚訴訟を起こしたからといって必ず判決に基づく離婚となるわけではありません。
(2)   和解離婚は,人事訴訟法(平成15年法律第109号)が平成16年4月1日に施行されたことに伴い,認められるようになりました。

2 平成21年に全国の裁判所で終局した離婚訴訟についていえば,判決で終局したものが3,829件(41.3%),判決以外で終局したものが5,433件(58.7%)です。
離婚訴訟では和解で終局する事件も多く,全体の46.3%(4,291件)を占めています。

3 和解離婚の性質は,訴訟を終了させる訴訟上の合意であるとともに,実体法条の婚姻関係の解消に係る私法上の合意を家庭裁判所の面前で行うという性質を併せ有するものと解されています。
   そのため,離婚する旨の和解によって実体法上離婚の効果が直ちに発生しますものの,このような和解は身分行為そのものであるため,実体法の要請として代理には親しまないとされている結果,和解を成立させるためには当事者本人の出頭が要求されています。

4 離婚訴訟を提起した後の当事者の合意による解決方法としては,家事調停に付する方法もあります(家事事件手続法274条1項)。
   訴訟上の和解は裁判官が主宰するのに対し,家事調停は原則として調停委員会が行い,家庭裁判所調査官が関与することも可能であるなどといった相違点がありますから,証拠調べ等の結果による心証に基づいて合意による解決を図る場合には訴訟上の和解が,さらに相当程度の話し合いや調整が必要な場合には家事調停が選択される傾向にあります。

第9 離婚の届出

1(1) 離婚訴訟で和解が成立し,又は判決が確定した後の戸籍の記載の嘱託を家庭裁判所はやってくれません。
   そのため,夫婦の本籍地又は届出人の住所地の市区町村役場に対し(戸籍法25条1項),和解又は判決確定の日から10日以内に,和解調書謄本又は判決謄本(プライバシーの関係で,身分関係だけを記載した和解調書省略謄本(戸籍届出用)又は判決省略謄本(戸籍届出用)で足ります。)(判決の場合,判決確定証明書も必要です。)を添付して離婚届を提出する必要があります(戸籍法77条1項・63条1項)。
(2)   本籍地以外の市区町村役場に届け出る場合,夫婦の戸籍謄本が必要になります。また,この場合,相手方及び証人の署名押印は不要です。

2 和解調書省略謄本(戸籍届出用)及び判決省略謄本(戸籍届出用)は,記録の存する裁判所で発行してもらえます。
   そのため,例えば,最高裁判所の上告棄却決定により離婚訴訟の判決が確定した場合,訴訟記録の存する最高裁判所において,判決省略謄本(戸籍届出用)及び判決確定証明書を発行してもらうこととなります。

第10 被告に対する送達が公示送達によることが見込まれる場合の取扱い

1 公示送達の認定のために必要な資料
   一般的に,公示送達(民事訴訟法110条)を行うに当たっては,「公示送達申立書」のほか,以下の観点からの証明資料(客観性及び具体性を備えているもの)を提出する必要があります。
① 被告の最後の住所等の場所がどこであるか。
② 最後の住所等に被告が居住又は存在しないこと。
③ 就業場所がないこと,又は就業場所が判明しないこと。

2 公示送達を行う前提としての親族照会
(1) 離婚訴訟の判決には対世効が認められること(人事訴訟法24条1項)から,公示送達における「送達をすべき場所が知れない」という,いわゆる所在不明の要件の認定については,通常の民事訴訟と比べて厳格に行われます。
   そのため,公示送達を行う前提として,家庭裁判所は通常,以下の者に対し,被告の所在についての照会を行い,被告の住所等が判明しないことを確認します(「親族照会」といいます。)。
① 被告の両親(実親及び養親
② 被告の子(実子及び養子)(ただし,満20歳以上の者に限る。)
③ 被告の兄弟姉妹全員
④ 被告の所在を知っている可能性のある者
(2) 親族照会では,以下の事項を照会します。
① 被告を知っているかどうか。
② 被告とはどのような関係か。
③ 被告の現在の連絡先を知っているかどうか。
④ 被告の連絡先を知っている場合,その場所はどこか。
⑤ 被告の連絡先を知らない場合,知っている可能性のある者の連絡先があるかどうか,あるとすれば,その者の連絡先はどこか。
⑥ その他被告に関することで知っていることはないか。
(3) 公示送達の申立てをする場合,親族照会の対象者の氏名及び住所(郵便番号を含む。)並びに被告との関係を記載した「親族等一覧表」を添付する必要があります。
   なお,申立て段階では,被照会者の住所に関する資料の提出は不要です
(4) 親族照会は,家庭裁判所の担当書記官名で行われます。
  担当書記官から照会書を発送した結果,照会書が郵便局から返送されたり,2週間以上の期限を過ぎても回答書が到着しなかったりしたときは,その旨の連絡が家庭裁判所から受任弁護士のところにあります。
  この場合,被照会者の現住所を確認するため,住所に関する資料(住民票写し又は戸籍付票写し)(ただし,発行日から3ヶ月以内のものに限る。)のコピーを提出する必要があります。

3 就業場所の調査
(1) 離婚訴訟において公示送達の申立てをする場合,単に「被告の就業場所は知れない。」旨の上申書では足りないのであって,被告の就業場所に関する調査報告書を提出する必要があります。
  ただし,原告と婚姻した時点で無職であった被告が,婚姻してから1度も就業していない場合,その旨を報告すれば足ります。
(2) 調査報告書を作成する際には,以下の点に留意する必要があります。
① 原告と婚姻した時点からの被告の職歴を具体的に記載すること。
② 原告が知っている被告の最後の就業場所に関しては,その勤務先の所在地及び名称を具体的に記載すること。
③ 最後の就業場所に対して,被告が現在でも勤務しているかどうかについて確認した上で,その内容について,①問い合わせをした日時,②問い合わせをした方法,③回答の内容,④可能であれば回答をした担当者の氏名をできる限り詳しく記載すること(書面による回答が得られたのであれば,その写しも添付すること。)。

1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。