任意整理で弁護士に説明すべき事項

第1 すべての債権者の名前及び約定の残債務の額の申告

□ 債務整理の方針を任意整理とするか,自己破産又は個人再生とするかで重要な意味を持ちますから,債務整理の対象とするとしないとにかかわらず,すべての債権者の名前(過払金回収の関係で過去10年以内の完済業者を含む。)及び約定の残債務の額を明らかにしてください。
□ 債権者の種類としては以下のものがあります。
① サラ金及びクレジット会社(総称して「貸金業者」といいます。)
→ 貸金業者というのは,融資は行うが預金の受入は行わない金融機関をいい,ノンバンクともいわれます。
    なお,クレジット会社に対する支払は自動引落しで行っていることが多いですから,利用したことを忘れているクレジット会社があるかもしれない場合,預貯金通帳の記載を必ず確認して下さい。
② 銀行,信用金庫,信用協同組合等の金融機関
→ 住宅ローンなり,カードローンなりを組んでいる場合に出てきます。
   なお,銀行等のように,預貯金の受入を行う金融機関は貸金業者から除かれます(貸金業法2条1項及び2項参照)。
③ 滞納中のマンション管理費・修繕積立金に関する管理組合
→ マンションに居住していない場合でも,マンションの管理費・修繕積立金はマンションに居住している場合と同様に発生します(最高裁平成22年1月26日判決参照)。
④ 滞納中の家賃(以前に借りた借家の分を含む。)に関する貸主
→ 受任弁護士に相談した時点で家賃の滞納がある場合,別生計の親戚等に立替払いをしてもらうことが望ましいです。
⑤ 所得税,住民税,国民年金,国民健康保険料等の公租公課
⑥ 親戚,友人,勤務先(公務員の場合,共済組合を含む。)及び勤務先の社長等からの借入金
⑦ 日本育英会,日本学生支援機構等の奨学金
⑧ NHK(=日本放送協会)の放送受信料
⑨ ヤミ金
⑩ 役所からの借入金
→ 例えば,(a)社会福祉協議会の「生活福祉資金」,及び(b)ハローワークの「訓練・生活支援資金融資」(平成23年9月30日までの制度)又は「求職者支援資金融資」(平成23年10月1日からの制度)があります。
 ⑪ 年金担保貸付を受けている場合の,福祉医療機構
→ 年金担保貸付は年金受給権を質権の目的物としている(独立行政法人福祉医療機構法12条1項12号参照)ため,自己破産をしても支払義務を免れることはできません。
⑫ 交通事故なり,窃盗・詐欺・横領なりといった,不法行為に基づく債権者
⑬ 費用返還債権(生活保護法63条)なり,費用徴収債権(生活保護法78条)なりを有する保健福祉センター等
⑭ 重過失に基づく失火に起因して,類焼損害を与えた近隣家屋の所有者,及び近隣家屋の所有者が加入していた損害保険会社(請求権代位に関する保険法25条参照)
→ ちなみに,軽過失に基づく失火は,失火ノ責任ニ関スル法律(明治32年3月8日法律第40号)に基づき免責されます。
⑮ 失火に起因して,賃借中の自宅を焼損した場合の貸主
→ 最高裁昭和30年3月25日判決は,失火ノ責任ニ関スル法律は賃貸借契約における賃貸人との関係では適用されないと判示していますから,軽過失にとどまる場合でも,貸主に対して損害賠償義務があります。
⑯ 自分が連帯保証人になった債権者
→ 例えば,①ご主人が住宅ローンを組んでいる場合,奥さんが連帯保証人になっていることが多いですし,②マンションを借りている場合,保証会社が連帯保証人になっていることが多いです。
    また,代表者として会社を経営していた場合,(a)会社がお金を借りている金融機関に対して連帯保証を入れているのはもちろんですが,(b)大阪信用保証協会(平成26年5月19日,大阪府中小企業信用保証協会及び大阪市信用保証協会が合併して成立)なり,一般社団法人しんきん保証基金(信用金庫からの借入の場合)なり,全国しんくみ保証株式会社(信用協同組合からの借入の場合)なりに対しても連帯保証を入れている場合があります。
⑰ 自分が身元保証人になっている相手方
→ 親族の勤務先に対して身元保証人になっている場合,当該勤務先を債権者にあげる必要があります。
⑱ 自分の借金の連帯保証をしてくれている人(=事前求償権者)
→ (a)自宅が賃貸である場合,親戚知人又は保証会社が連帯保証人になっていることが通常です。
(b)銀行のカードローンの場合,アコムなりプロミスなりといった貸金業者が連帯保証をしていることが多いです。
(c)住宅ローンの場合,銀行の関連会社が連帯保証をしていることが多いです。
(d)個人事業で商売をしていた場合,大阪信用保証協会なり,一般社団法人しんきん保証基金なり,全国しんくみ保証株式会社なりが連帯保証をしていることが多いです。
⑲ 死亡した両親等が,何らかの借金を負担し,又は知人等の借金の連帯保証人をしていた場合において,相続放棄(民法938条)の手続をとっていないために存在するかも知れない債権者

第2 その他説明すべき事項

□ 債務整理の対象とする場合,できる限り初回取引の時期(=その貸金業者と初めて取引をした時期)を明らかにしてください。
   アイク,ディック及びユニマットレディスが合併して平成15年1月1日にできたCFJのように,取引の途中で別の貸金業者から債権譲渡を受けた貸金業者がある場合,譲渡にかかる借入金の借入を開始した時期を明らかにしてください。
    これは,貸金業者によっては,借換又は途中完済後の取引だけを開示してくることがあるところ,初回取引の時期を確認することによって,そのような虚偽の取引履歴に基づいて債務整理をしてしまうことを防止するためです。
□ 相談直前に借入をしている貸金業者が含まれている場合,必ずお伝えください。
客観的に考えて,債務整理することを決意していたと思われる時期に借入をしていると,取り込み詐欺みたいなところがありますから,悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項2号,民事再生法229条3項1号)として非免責債権又は非減免債権に該当すると,債権者から主張される危険があります。
    そのため,取り込み詐欺ではないといった事情を詳しく主張する必要があります。
□ 窃盗,詐欺,横領等により発生した損害賠償債務が存在する場合,債権者に対し依頼者の言い分を十分に主張する必要がありますから,詳しい事情を必ずお伝え下さい。
□ 借入時又は完済時と現在とで,住所又は勤務先が異なる場合,貸金業者から本人確認のために借入時の住所又は勤務先を聞かれることがありますから,当時の住所を受任弁護士に申告して下さい。
□ 受任通知記載の氏名(旧姓を含む。),住所及び生年月日は,貸金業者にとっては本人確認のために必要不可欠な情報ですから,受任弁護士に話した内容に間違いが絶対ないようにしてください。
□ 貸金業者に対する最後の支払が5年以上前である場合,当該貸金業者に対する債務については,5年の商事消滅時効が完成して消滅している可能性があります(商法522条本文)から,そのような債務がある場合,必ず申告して下さい。
    なお,最後の支払がいつであるか分からない場合,後述する信用情報機関の窓口において,ご自身の信用情報を取り寄せれば,最後の支払日(=商事消滅時効の起算日)が分かることがあります。
    ただし,貸金業者が仮執行宣言付支払督促を取得している場合,当該支払督促は確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法396条)から,消滅時効期間は10年間となります(民法174条の2第1項後段)。
□ 過払金返還請求を検討している貸金業者が発行しているカードを現在も使用している場合,必ずその旨を申告して下さい。
□ カード会社等との間で長期の分割弁済でもいい旨の打診を受任弁護士に依頼する前に受けていた場合,その旨を受任弁護士にお伝え下さい。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。