離婚

第1 離婚

1  養育費・婚姻費用の算定表

2 離婚に伴う財産分与

3 離婚時年金分割制度


4 離婚給付等契約公正証書


5 離婚調停成立後の手続

6 離婚訴訟


7 離婚訴訟における親権者の指定,養育費及び財産分与並びに慰謝料請求

8 家庭裁判所調査官が行う事実の調査

9 婚姻費用又は養育費の不払いがあった場合の強制執行等

10 離婚雑知識

第2 子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A等

1 平成28年10月1日付で法務省HPに掲載された,「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」は,市区町村の窓口において,離婚届用紙を取りに来られた方に同時に交付されるそうですが,非常に参考になります。

2 既に養育費の金額が合意により決まっている場合,通常の契約に基づく金銭請求と同じように,養育費の請求を地方裁判所で行うことができます(外部HPの「合意した養育費は地方裁判所で請求できる!」参照)。 
   実際,最高裁判所事務総局家庭局が作成した「養育費支払の実情について」の末尾1頁には,「養育費の支払を命ずる地方裁判所の判決並びに家庭裁判所の審判及び養育費の支払を合意した調停長所は,いずれも債務名義となり(民事執行法22条3号,7号),これに基づき強制執行をすることができる。」と書いてあります。

3(1) 厚生労働省HPの「母子家庭等関係」「ひとり親家庭等の現状について」(平成27年4月20日作成)に,母子世帯又は父子世帯の現状,支援内容等が書いてあります。
(2)   「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」(5年に1度の調査です。)の「17 養育費の状況」 7頁によれば,母子世帯のうち,現在も養育費を受けているのは,平成18年調査で19.0%であり,平成23年調査で19.7%です。

第3 日弁連の,養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言

1 日弁連は,平成28年11月15日,「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」を発表しました。
   日弁連の新算定表で計算した場合,養育費及び婚姻費用は,従来の算定表で計算した場合と比べて,1.5倍ぐらいになるといわれています。
 
2 日弁連の新算定表が今後の実務にどれぐらいの影響を及ぼすかはよく分かりません。

3 平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によれば,日弁連が発表した「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」についての,最高裁判所の検討内容が分かる文書は存在しません。 

第4 国際結婚及び国際離婚

1 国際結婚の参考リンク
① 法務省HPの「国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A」
② 総務省HPの「外国人住民に係る住民基本台帳制度」(平成24年7月9日施行)
③ イワタ行政書士事務所HPの「渉外戸籍」
→ 戸籍法は,日本に住む外国人が関係する身分変動や身分行為にも適用されます。

2 国際的法律問題の参考リンク
① みずほ中央法律事務所HPの【国際的法律問題まとめ|準拠法・国際裁判管轄・送達・内容証明・強制執行】 
② 弁護士法人クラフトマンHPの「国際裁判管轄と民事訴訟法」
③ 月報司法書士2015年1月号「国際民事訴訟法の基礎的構造」

3 国際離婚の参考リンク
① NPO法人国際結婚協会HPの「国際離婚の方法」
② 離婚弁護士ナビHPの「国際離婚の全手順 日本で国際離婚を進める方法」

4 家事事件手続法の条文等
(1)   家事事件手続法4条は,「家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。」と定めています。
   しかし,離婚訴訟等の手続について定める人事訴訟法には,国際裁判管轄に関する条文がありません。
(2) 家事事件及び離婚訴訟については,民事訴訟法3条の2ないし3条の12に相当する条文がありません。

5 離婚事件の国際裁判管轄に関する立法論
   ①商事法務研究会HPに掲載されている「離婚・婚姻関係事件の国際裁判管轄に関する論点の検討」,②法務省HPに掲載されている「人事訴訟事件等についての国際裁判管轄法制研究会報告書」が参考になります。

6 関連判例
① 最高裁大法廷昭和39年3月25日判決
   外国人間の離婚訴訟にあつて、原告が遺棄されたものである場合または被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合においては、被告の住所が日本になくても、原告の住所が日本にあるときは、日本の裁判所は、前記訴訟につき、国際的裁判管轄権を有すると解すべきである。 
② 最高裁平成8年6月24日判決
   日本に居住する日本国籍の夫がドイツに居住するドイツ国籍の妻に対する離婚請求訴訟を日本の裁判所に提起した場合において、妻が先にドイツの裁判所に提起した離婚請求訴訟につき妻の請求を認容する旨の判決が確定し、同国では右両名の婚姻は既に終了したとされているが、日本では、右判決は民訴法200条2号(現在の民訴法118条2号)の要件を欠くため効力がなく、婚姻はいまだ終了しておらず、夫がドイツの裁判所に離婚請求訴訟を提起しても婚姻の終了を理由に訴えが不適法とされる可能性が高いときは、夫の提起した離婚請求訴訟につき日本の国際裁判管轄を肯定すべきである。

第5 海外送達

0 はじめに
   私は,海外送達に関する業務は一切取り扱っていませんから,本記載ブロックに関する相談にはお答えできないのであって,本記事ブロックの記載は,最高裁判所作成の資料を利用した,単なるメモ書きにすぎません。

1 総論
(1) 外国在住者に対する訴状等の送達方法については,最高裁判所作成の資料である「送達嘱託手続に関する関係書類の送付経路図」で始まる資料を参照してください。
   民訴条約は,1954年3月1日に作成された,民事訴訟手続に関する条約(昭和45年6月5日条約第6号)のことであり,送達条約は,1965年11月15日にハーグで作成された,民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約(昭和45年6月5日条約第7号)のことです。
(2) 最高裁判所作成の資料である「アメリカ合衆国・大韓民国・ブラジル連邦共和国・シンガポール共和国への送達嘱託フローチャート」を見れば,送達嘱託の流れがわかります。
(3) 外国在住者に対して強制執行をしたい場合,少なくとも,訴状等の送達,判決書の送達及び差押命令の送達が必要となりますから,3回は送達する必要がある気がします。
   そのため,民事訴訟法3条の3に基づき,日本に国際裁判管轄がある場合であっても,送達にかかる時間を考えた場合,差押財産が存在する海外の裁判所に直接,訴訟提起した方がいいのかもしれません。
(4) 最高裁判所作成の資料である,「送達嘱託記載例」を掲載しています。
(5) 国名呼称につき,日経スタイルHPの「グルジアはジョージアが正しい?国名呼称の不思議」が参考になります。

2 領事送達,中央当局送達,指定当局送達,管轄裁判所送達及び公示送達
(1) 領事送達
ア 領事送達の根拠は以下の3種類です。
① 領事条約
   日本は,アメリカ合衆国及び英国と領事条約を締結していますところ,領事条約では,領事官は,派遣国の裁判所のために,裁判上の文書を送達することができる旨が定められています(日米領事条約17条1項(e)号(i),日英領事条約25条)。
   そのため,アメリカ合衆国又は英国に在住する者に対しては,日本人であると外国人であるとを問わず,また,送達すべき文書が民事又は商事に関する文書であるか否かを問わず,当該国に駐在する日本の領事館に嘱託して送達をすることができます。
② 民訴条約及び送達条約
・   民訴条約及び送達条約では,各締約国は外国にいる者に対する直接の送達を自国の外交官又は領事官(以下「在外領事等」といいます。)に行わせる権能を有する旨を定めています(民訴条約6条1項3号,送達条約8条1項)。
   そのため,これらの条約の締結国に在住する者に対しては,当該国に駐在する日本の在外領事等に嘱託して送達をすることができます。
   ただし,その国が,嘱託国の国民以外の者に対する領事送達を拒否しているときは,日本人に対してだけ領事送達をすることができます(民訴条約6条2項,送達条約8条2項)。
・ 民訴条約又は送達条約に基づき送達することができる文書は,民事又は商事に関する文書に限られています(民訴条約1条1項,送達条約1条1項)。
③ 個別の応諾 
・   国家間において条約等の合意がなくても,相手国が,我が国の在外領事等によるその国に在住する者に対する送達を応諾する場合には,当該国に在住する者に対し,当該国に駐在する我が国の在外領事等に嘱託して送達をすることができます。
   この場合,受送達者は日本人に限られることが多いです。
・ 領事送達は,強制によらないものに限られます(送達条約8条1項ただし書)から,受領拒否のおそれがある場合は利用できません。
(2) 中央当局送達
ア   中央当局送達は,送達条約により認められた送達方法であり,受送達者が在住する国が送達条約の締約国である場合に行うことができます。
   中央当局は,送達の要請を受理し,かつ,処理する責任を負う当局のことであり,各締約国によって指定されています。
イ 送達することができる文書は民事又は商事に関する文書に限られます(送達条約1条1項)。
ウ ルートの選択の目安につき,中央当局送達は,受送達者が日本人であると外国人であるとを問わず実施することができ,また,任意交付の方法による場合を除き,受送達者が受領を拒んでも送達の効力が認められる場合があります。
   しかし,領事送達に比べ時間がかかることも多く,また,送達方法として任意交付以外の方法を希望した場合には受送達者が日本語を解するときでも一般に訳文の添付が求められます。
   そのため,中央当局送達は,外国人に対し領事送達の方法によることができない場合,または受送達者が受領を拒む恐れがある場合に利用することが考えられます。
(3) 指定当局送達
ア 指定当局送達は,民訴条約による送達の原則的形態でありますものの,民訴条約及び送達条約の両条約締約国については送達条約が優先し,中央当局送達によることができません(送達条約22条)。
   そのため,指定当局送達は,送達条約に加入していない国に在住する受送達者に対して行うこととなります。
イ 送達することができる文書は民事又は商事に関する文書に限られます(民訴条約1条1項)。
ウ ルートの選択の目安については,中央当局送達と同じです。
(4) 管轄裁判所送達
ア 管轄裁判所送達の根拠は以下の2種類です。
① 二国間共助取決め
   日本が受送達者の在住する国との間で司法共助の取決めを締結している場合,その取決めに基づき当該国の裁判所に嘱託して送達することができます。
② 個別の応諾
   二国間共助取決めがなくても,受送達者が在住する国が応諾する場合,当該国の裁判所に嘱託して送達することができます。
イ ブラジルは,領事送達を拒否しているうえ,民訴条約や送達条約にも加入っしていないので,ブラジルに在住する者に対して送達を行う方法は,二国間共助の取決め等に本地て,管轄裁判所送達を行うこととなります。
(5) 公示送達
ア 民事訴訟法110条は,一定の要件の下に,外国に在住する者に対して公示送達を行うことを認めています。
イ   受訴裁判所において,民事訴訟法110条1項4号の「外国の管轄官庁に嘱託を発した日」を確認したい場合の取扱いは以下のとおりです。
・ 外国の管轄官庁に嘱託を発した日について,最高裁判所民事局長等が外務省等に送達嘱託の手続をした日と解する場合,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係に電話をして,最高裁判所が外務省等に発出した日付を確認し,確認した結果について,電話聴取書に残す等の方法が考えられます。
・ 外務省→在外日本国大使館→外国の外務省へと送付される場合(管轄裁判所送達の場合等)について,外国の管轄官庁に嘱託を発した日を,実際に在外日本国大使館から外国の外務省(管轄官庁)に送付した日と解する場合,外務省にその日付を確認するため,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係に連絡します。
   外務省から問い合わせ等があるので,公示送達を実施した場合,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係あてに電話等で連絡しておきます。
・ ブラジル連邦共和国のように送達実施までの通常の方法で約14か月かかる国に対しては,その点の配慮を行う必要があります。
ウ 民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律(昭和45年6月5日法律第115号)28条は,「外国においてすべき送達条約第十五条第一項の文書の送達については、同条第二項(a)、(b)及び(c)に掲げる要件が満たされたときに限り、民事訴訟法第百十条の規定により公示送達をすることができる。」と定めています。
エ 台湾や北朝鮮等国交のない国に在住する者に対して文書を送達する場合,公示送達によらざるを得ません。
   なお,外国に在住する者に対して工事送達を行った場合,民事訴訟規則46条2項後段により,公示送達があったことを受送達者に通知することができます(通知は,日本語による文書を普通郵便で送付することなどが考えられます。)。
オ 外国においてすべき送達についてした公示送達は,掲示を始めた日から6週間を経過することによって,その効力を生じます(民事訴訟法112条2項)。

3 個別の国ごとの所要期間等
(1)   最高裁判所作成の以下の資料を見れば,それぞれの国における送達方法がわかります。領事送達,中央当局送達及び管轄裁判所送達の3種類になっています。
① アメリカ合衆国
→ 領事送達の期間は3か月,中央当局送達の期間は5か月,管轄裁判所送達は先例なし。
② 英国
→ 領事送達の期間は3か月,中央当局送達の期間は4か月,管轄裁判所送達は先例なし。
③ オーストラリア
→ 領事送達の期間は4か月,中央当局送達は先例なし,管轄裁判所送達は9か月
④ カナダ
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は5か月,管轄裁判所送達は7か月
⑤ シンガポール共和国
→ 領事送達は4か月,管轄裁判所送達は4か月
⑥ 大韓民国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は4か月,管轄裁判所送達は6か月
⑦ 中華人民共和国(香港,マカオを含む。)
→ 中国(香港,マカオを除く)の場合,領事送達は4か月,中央当局送達は6か月,管轄裁判所送達は4か月
   香港の場合,領事送達は4か月,中央当局送達は5か月,管轄裁判所送達は先例なし。
   マカオの場合,領事送達は3か月,中央当局送達及び管轄裁判所送達は先例なし。
⑧ ドイツ連邦共和国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は4か月,管轄裁判所送達は8か月
⑨ ニュージーランド
→ 領事送達は4か月,管轄裁判所送達は9か月
⑩ フィリピン共和国
→ 領事送達は3か月,管轄裁判所送達は7か月
⑪ ブラジル連邦共和国
→ 管轄裁判所送達は14か月
⑫ フランス共和国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は7か月,管轄裁判所相殺は6か月
⑬ ロシア連邦
→ 領事送達は5か月,中央当局送達は13か月,管轄裁判所送達は先例なし。
(2) 期間については,過去の例において最高裁判所が外務省に通知した日から最高裁判所が嘱託庁に送達結果を通知するまでの平均所要期間が記載されているものの,同一国に対し,同一ルートで嘱託しても期間にかなりの差が出ることがあるそうです。
   また,嘱託庁(多分,受訴裁判所のことと思います。)と最高裁判所との間のやり取りでも時間がかかる気がします。
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2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。