保険契約

第1 総論

□ 原則として保険契約を解約する必要はありません。
ただし,解約しないものも含めて,すべての保険証書のコピーをいつでも裁判所に提出できる状態にしておく必要があります。
また,全労済,府民共済及び自動車保険(=自賠責保険及び任意保険)を除き,保険証書に加えて解約返戻金証明書(今解約したらいくら戻ってくるかの証明書であり,掛け捨ての生命保険についても原則として必要です。)が必要です。
□ 住宅ローンを購入したときにかける長期一括払いの火災保険(地震保険が付帯されていることがあります。)の場合,住宅を途中で売却すると火災保険も解約となるため,解約返戻金が発生することがあります。
ただし,解約返戻金について,住宅ローンを組んだ銀行又は保証会社の質権が設定されていることが多いです。
□ 共済は,保険法(平成20年6月6日法律第56号。平成22年4月1日施行)所定の保険契約の一種です(保険法2条1号)。
□ 解約返戻金の額が20万円を超える場合,破産管財人を選任してもらった上で自由財産拡張の手続をとらない限り,そのまま残すことはできません。
□ 保険会社によっては,解約返戻金証明書を取得した場合,受任弁護士の承諾がない限り,保険契約の処分ができなくなることがあります。
□ 受任通知発送の2年前以内に解約した保険については,解約返戻金の額及びその使い道等を裁判所に報告する必要がありますから,調べておいてください。
□ 株式会社かんぽ生命保険(=かんぽ生命)は,保険業法に基づく生命保険会社として,郵便局株式会社(=JP郵便局)が運営している郵便局を保険代理店として生命保険を販売しているだけですから,民間の生命保険と同様の取扱いを受けます。
実際,かんぽ生命は,平成21年12月4日,金融庁及び関東財務局から業務改善命令を受けています(前者につき保険業法132条1項,後者につき保険業法306条)。

第2 他人名義の生命保険の解約返戻金の取扱い

□ 保険契約者は保険者に対し,生命保険契約に基づき,解約返戻金請求権及び解約権を有していますところ,現実に生命保険契約締結の手続をした人(=行為者)ないし自己の出捐(しゅつえん)により保険料を支払った人(=出捐者)と,保険申込書なり保険証券なりに表示された保険契約者(=名義人)とが異なる場合,誰が保険契約者としての権利を取得するかが問題となります。
ある者が実在の他人名義で契約の締結手続をする場合,通常は,①その契約の効果を自己に帰属させる意思である場合(=自己を表示する名称として他人名義を使用する場合)と,②これを当該他人に帰属させる意思である場合(=当該他人の使者として,又は無権代理人としていわゆる署名代理の方法により他人名義を使用する場合)のいずれかであると考えられます。
具体的事件においてこの点が争われた場合,裁判所としては,当該事件において認められる諸般の事情を考慮して,契約締結手続に関与した人が外部に表示した意思を合理的に解釈することにより,契約当事者が誰であるかを確定することとなります。
生命保険契約に関して,名義人と行為者との間でいずれが保険契約者であるかが争われた場合に考慮すべき要素としては,以下の事情がありますところ,場合によっては,行為者兼出捐者が名義人の使者ないし代理人として生命保険契約を締結し,名義人に対して保険料支払資金を贈与してきたものと認定されることがあります。
① 当該生命保険契約の内容
→ 被保険者,保険金受取人,保険金額,保険料,保険期間及びその他の特約が問題となります。
② 保険料の支払方法及び出捐者
③ 名義人,行為者及び出捐者の関係,年齢,職業,収入及び生活状況
④ 行為者の動機,目的及び契約締結手続の際の言動
⑤ 保険者及び名義人の認識
⑥ 届出印及び保険証券の保管状況
⑦ 契約者貸付の利用の有無,利用がある場合は貸付金の受領者とその使途
⑧ 配当金の分配方法
□ 保険契約において,保険証書に保険契約者として記載された者と,現実に契約締結手続をなしたのみならず,その保険証書及び届出印章を保管し,保険料についても自己の出捐で支払を継続してきた者とが異なる場合に,その双方の間でいずれが保険契約者としての権限を有するかを決すべきときは,右支払等をなしてきた者が保険証書上の名義人の代理人等として右行為をしたものと認め得るような事情のない限り,保険契約者は,保険証書に保険契約者として記載された者ではなく,現実に右支払等をなしてきた者であると認定されます(大阪高裁平成7年7月21日判決)。
□ 行為者兼出捐者が自己の出捐により保険料を支出していたことを認定するためには,その者の預金通帳等の客観的資料が必要であり,親子関係にある行為者兼出捐者と名義人の陳述書程度では一般論として証拠不十分であるといわれます。
また,名義人が,当該生命保険契約について,①所得金額の計算上,生命保険料控除を受けている場合,②契約者貸付を利用している場合,③特約に基づく給付金を受領している場合等は,名義人が当該生命保険契約の存在を認識していることが明らかですから,名義人が保険契約者として解約返戻金請求権を有するものと認められることが多いです。
□ 預金通帳等の記載から申立人が自己の出捐により保険料を支払っていたことが認められるような場合,保険証券上の保険契約者が子ども,配偶者等の他人であるとしても,申立人が保険契約者として解約返戻金請求権を有すると認められることがあります。
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