家庭裁判所調査官が行う事実の調査

第1 総論

1 家庭裁判所が附帯処分等(=①親権者の指定,②子の監護に関する処分,③財産分与,及び④年金分割)についての裁判をする場合,非公開の審問期日を開いて当事者の陳述を聞くほか(人事訴訟法33条4項及び5項),家庭裁判所調査官が当事者から事情を聞くことで(人事訴訟法34条),「事実の調査」を行う場合があります。
   これは,厳格な証拠調べの方式によらずに,具体的事案に即した柔軟な方法で裁判資料を得るために行われる手続であり,家事調停及び家事審判の場合にも同様に行われる手続です(家事調停の場合につき家事事件手続法261条及び262条,家事審判の場合につき家事事件手続法56条参照)。
 
2(1) 附帯処分等は,訴訟手続の中で審理され判決により判断されるものですから,当然に事実の調査によるというものではなく,基本的には,当事者の主張・立証によるべきものとして証拠調べが実施されるのであって,事実の調査はいわば補充的なものとして実施されています。
実務上,附帯処分等のうち,家庭裁判所調査官による事実の調査の対象となるのは,親権者の指定に限られており(調査事項の特定につき人事訴訟規則20条2項),その余の事項は,当事者の訴訟活動を通じて判断資料が収集されることになっています。
(2) 附帯処分等の実質的家事審判事項のみに関する資料で,かつ,相手方に開示することが相当でないものについては,事実の調査による資料として提出することもできます。
   この場合,証拠説明書とは別に人事訴訟法35条2項各号に該当する具体的事由を記載した資料説明書を提出する必要があります。
   例としては,15歳以上の子の親権者に対する意向を記載した書面(人事訴訟法32条4項参照)で,その内容からして,相手方に開示されることがためらわれるようなものがあります。

第2 親権者の指定に関する事実の調査

1 親権者の指定に関して,家庭裁判所調査官が行う事実の調査は以下のとおりであり,括弧内の数字は,平成23年に全国の家庭裁判所調査官から671件の調査報告書(人事訴訟法34条3項)が提出された事件の調査命令における,調査事項の内容です。
   なお,1件で複数の内容の調査命令が出ているものもあるので,合計は671件になりません。
① 子の監護状況調査(481件。71.7%)
→ 子の監護の現状が未成年者の福祉に沿うものであるかどうかの調査です。
② 子の意向調査(201件。30.0%)
→ 専門的技法を用いて子の意向を把握する調査です。
15歳以上の子については親権者指定等の裁判をする場合に必ず陳述を聞く必要があります(人事訴訟法32条4項)ところ,15歳未満の子であっても,概ね10歳以上の子で,意向を聴取することが可能であり,かつその必要性があると判断される場合には,子の意向調査が実施されています(子どもの権利条約12条参照)。
   なぜなら,概ね10歳くらいの年齢になると,それまでの自己中心的な遊びや空想の世界から,より客観的で現実の世界への入口に入ると考えられているからです。
③ 親権者の指定に関する意見(人事訴訟法34条4項)(83件。12.4%)
④ その他(73件。10.9%)
→ 非監護親又は監護補助者の監護環境,監護方針等が含まれます。

2 家庭裁判所調査官による事実の調査では,①家庭訪問等で監護している親及び子と面会するほか,②保育園・幼稚園・小学校といった,子の日常をよく把握している第三者を調査対象とし,子の出欠状況,子の園や小学校での様子,子の保護者との連絡状況等を調査しています。
   ただし,①子が他の児童の目を意識することなどから,小学校においては,保育園のように,子の集団生活の中での様子を観察することは相当ではないし,②小学校の高学年以上になると,子が通学先の教師等を調査されること自体に抵抗感を持つことがあることにも配慮されています。

第3 事実調査部分の閲覧・謄写

当事者は,通常の訴訟記録は当然に閲覧・謄写できます(民事訴訟法91条1項,3項)ものの,訴訟記録中事実の調査に係る部分(=事実調査部分)の閲覧・謄写(例えば,家庭裁判所調査官による調査報告書)については,以下の①ないし③の事情がない限り,家庭裁判所の許可を得た上で行うことができます(人事訴訟法35条2項参照)。
① 当事者間の未成年の子の利益を害する。
② 当事者等の私生活又は業務の平穏を害するおそれがある。
③ 当事者等の重大な秘密が明らかにされることにより,その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ,又はその者の名誉を著しく害するおそれがある。

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