貸金業法及びサービサー法に基づく取立行為の規制

第1 貸金業法に基づく取立行為の規制

□ 貸金業者等は,貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たって,人を威迫し,又は以下に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはなりません(貸金業法21条1項,貸金業者向けの総合的な監督指針Ⅱ-2-18「取立行為規制」)。
① 正当な理由がないのに,午後9時から午前8時までの時間帯に,債務者等に電話をかけ,若しくはファクシミリ装置を用いて送信し,又は債務者等の居宅を訪問すること。
→ 「正当な理由」の例としては,(a)債務者等の自発的な承諾がある場合,及び(b)債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合があります。
② 債務者等が弁済し,又は連絡し,若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において,その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに,午後9時から午前8時までの時間帯に,債務者等に電話をかけ,若しくはファクシミリ装置を用いて送信し,又は債務者等の居宅を訪問すること。
→ 「その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由」の例としては,以下のものがあります。
(a) 債務者等からの弁済や連絡についての具体的な期日の申し出がない場合
(b) 直近において債務者等から弁済や連絡に関する申し出が履行されていない場合
(c) 通常の返済約定を著しく逸脱した申出がなされた場合
(d) 申出に係る返済猶予期間中に債務者等が申出内容に反して他社への弁済行為等を行った場合
(e) 申出に係る返済猶予期間中に債務者等が支払停止,所在不明等となり、債務者等から弁済を受けることが困難であることが確実となった場合
③ 正当な理由がないのに,債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ,電報を送達し,若しくはファクシミリ装置を用いて送信し,又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。 
→ 「正当な理由」の例としては,(a)債務者等の自発的な承諾がある場合,(b)債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合,及び(c)債務者等の連絡先が不明な場合に,債務者等の連絡先を確認することを目的として債務者等以外の者に電話連絡をする場合があります。
④ 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において,債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
⑤ はり紙,立看板その他何らの方法をもってするを問わず,債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
→ これは,債務者等に心理的圧迫を加えることにより弁済を強要することを禁止する趣旨であり,債務者等から家族に知られないように要請を受けている場合以外においては,債務者等の自宅に電話をかけ家族がこれを受けた場合に貸金業者であることを名乗り,郵送物の送付に当たり差出人として貸金業者であることを示したとしても,直ちに該当するものではありません。
⑥ 債務者等に対し,債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
→ 「その他これに類する方法」には,クレジットカードの使用により弁済することを要求すること等が該当します。
⑦  債務者等以外の者に対し,債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること。
⑧  債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において,更に債権の取立てに協力することを要求すること。
⑨  債務者等が,貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士等に委託し,又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり,弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において,正当な理由がないのに,債務者等に対し,電話をかけ,電報を送達し,若しくはファクシミリ装置を用いて送信し,又は訪問する方法により,当該債務を弁済することを要求し,これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず,更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
→ 「正当な理由」の例としては,(a)弁護士等からの承諾がある場合,及び(b)弁護士等又は債務者等から弁護士等に対する委任が終了した旨の通知があった場合があります。
⑩  債務者等に対し,前述したいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
□ ①反復継続して,電話をかけ,電報を送達し,電子メール若しくはファクシミリ装置等を用いて送信し又は債務者,保証人等の居宅を訪問すること,及び②保険金による債務の弁済を強要又は示唆することは,「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きいです(貸金業者向けの総合的な監督指針Ⅱ-2-18「取立行為規制」)。

第2 サービサー法に基づく取立行為の規制

□ 債権回収会社(=サービサー)の業務に従事する者は,その業務を行うに当たり,人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により,その者を困惑させてはなりません(債権管理回収業に関する特別措置法(=サービサー法)17条1項)。
□ 平成11年4月7日に法務省大臣官房司法法制部審査監督課が作成した「債権回収会社の審査・監督に関する事務ガイドライン」(=事務ガイドライン)によれば,「威迫」とは,脅迫に至らない害悪の告知等により相手方に不安の念を生じさせることをいい,例えば,以下のようなことなどをいうとされています。
○ 暴力的な態度をとること。
○ 大声を上げたり,乱暴な言葉を使ったりすること。
○ 多人数で債務者の自宅等に押し掛け,又は債務者等を債権回収会社に呼び出し,大勢で取り囲んで面談すること。
□ 事務ガイドラインによれば,「私生活若しくは業務の平穏を害する言動」とは,社会通念上私生活や業務の平穏を害するに足りる言動をなすことをいい,例えば,以下のようなことなどをいうとされています。
○ 正当な理由なく,午後9時から午前8時までの間に,電話で連絡し,若しくはファクシミリ装置を用いて送信し,又は訪問すること。
なお,「正当な理由」とは,債務者等の自発的な承諾がある場合や債務者等と連絡を取るための合理的な方法がほかにない場合等をいう。
○ 正当な理由なく,反復又は継続して,電話で連絡し,電報を送達し,ファクシミリ装置を用いて送信し,若しくは電子メールを送信し,又は訪問すること。
なお,「正当な理由」とは,債務者等の自発的な承諾がある場合や債務者等と連絡を取るための合理的な方法がほかにない場合等をいう。
○ 債務者等が弁済し,又は連絡し,若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において,その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに,同申出に反する時期に連絡・訪問すること。
なお,「正当な理由」とは,同申出に従っていたにもかかわらず,債務者等と連絡が取れない場合等をいう。
○ 債務者等につきまとうこと。
○ 張り紙,落書き,その他いかなる手段であるかを問わず,債務者等の借入に関する事実その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること。
○ 正当な理由なく,債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話で連絡し,電報を送達し,ファクシミリ装置を用いて送信し,若しくは電子メールを送信し,又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
なお,「正当な理由」とは,債務者等の自発的な承諾がある場合や債務者等と連絡を取るための合理的な方法がほかにない場合等をいう。
○ 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において,債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず,当該場所から退去しないこと。
○ 近隣者に対して,自らの来訪目的を明らかにした上,債務者等に電話をするように伝言を依頼すること。
○ 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において,更に債権の取立てに協力することを要求すること。
○ 債務者等に対し,上記のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
○ 保険金による債務の弁済を強要又は示唆すること。
□ 債権回収会社は,特定金銭債権の管理又は回収の業務を行うに当たり,偽りその他不正の手段を用いてはなりません(サービサー法18条4項)ところ,事務ガイドラインによれば,「偽りその他不正の手段」を用いるとは,債務者の保護に欠け,又は債権の管理若しくは回収の適正を害するような偽計その他の工作を行うことをいい,例えば,以下のようなことなどをいうとされています。
○ 債権の回収に当たり,弁済受領権限,残存債務額等を偽ること。
○ 債権の回収に当たり,債務者が有する正当な抗弁(消滅時効の援用等)について,これが存在せず,又は,行使できないかのような言辞を弄すること。
□ 債権回収会社は,債務者等に対し,貸金業者からの金銭の借入れその他これに類する方法により特定金銭債権に係る債務の弁済資金を調達することをみだりに要求してはなりません(サービサー法18条6項)ところ,事務ガイドラインによれば,「金銭の借入れその他これに類する方法」とは,最終的に債務額を増加させることになる方法を広く包含するものであり,例えば,債務者等にクレジットカード等を使用させて物品を購入させ,その物品を古物商等に売却させる方法等をいいます。
□ 債権回収会社は,債務者等の親族(債務者等と内縁関係にある者その他債務者等と同居し,かつ,生計を同じくする者を含む。)又は債務者等が雇用する者その他の債務者等と密接な関係を有する者に対し,債務者等に代わって債務を弁済することをみだりに要求してはなりません(サービサー法18条7項)。
□ 債権回収会社は,債務者等が特定金銭債権に係る債務の処理を弁護士又は弁護士法人に委託し,又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとった場合において,その旨の通知があったときは,正当な理由がないのに,債務者等に対し,訪問し又は電話をかけて,当該債務を弁済することを要求してはなりません(サービサー法18条8項)。
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3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。