離婚給付等契約公正証書

第1 総論

□ 協議離婚の場合であっても,公証人役場において,①強制執行受諾文言(=債務を履行しない際には直ちに強制執行を受けても異議のないということを認諾する文言)が付いた公正証書(=執行証書(民事執行法22条5号))を作成し,かつ,②公正証書謄本を公証人役場から相手方に送達しておいてもらえば(民事執行法29条前段,民事執行規則20条),財産分与,慰謝料,養育費等に関して不履行があったときに直ちに強制執行をすることができます。
このような公正証書を「離婚給付等契約公正証書」といいます。
□ 公証人というのは,法務大臣が,裁判官を含む元裁判所職員,検察官を含む元検察庁職員,元法務局職員等の中から任命する公務員です。
□ 公証人は,独立採算制の公証人役場において,主として以下の業務を行っています。
① 公正証書の作成
② 私署証書なり会社等の定款なりに対する認証の付与
→ 私署証書とは,作成者の署名,署名押印又は記名押印のある私文書のことです。
③ 私署証書に対する確定日付の付与
□ 公証人役場には裁判所と異なり管轄というものがありませんから,全国どこの公証人役場を利用しても大丈夫です。
□ 強制執行一般に関しては,「判決に基づく強制執行」を参照して下さい。  

第2 離婚給付等契約公正証書の必要書類

□ 離婚給付等契約公正証書を作成する場合,以下の書類が必要です。
① 戸籍謄本
② 本人確認書類
→ 印鑑証明書及び実印なり,運転免許証なりが必要です。
③ 不動産の登記事項証明書,及び固定資産評価証明書
→ 不動産の財産分与があるときに必要です。
④ ローン支払い明細書
→ 住宅ローンが関係するときに必要です。
⑤ 保険証書
→ 保険金が関係するときに必要です。
⑥ 年金手帳又は基礎年金番号通知書
→ 年金分割の合意をするときに必要です。

第3 離婚給付等契約公正証書の作成手数料

□ 離婚給付等契約公正証書の作成手数料は以下の3種類の手数料の合計であり,それぞれの手数料は,法律行為の目的価額によって定まります。
具体的には,①目的価額が100万円以下であれば,手数料は5000円であり,②目的価額が200万円以下であれば,手数料は7000円であり,③目的価額が500万円以下であれば,手数料は1万1000円であり,④目的価額が1000万円以下であれば,手数料は1万7000円であり,⑤目的価額が3000万円以下であれば,手数料は2万3000円であり,⑥目的価額が5000万円以下であれば,手数料は2万9000円です。
① 養育費
期間中の養育費総額(ただし,10年分までです。)が目的価額となります。
② 慰謝料及び財産分与
慰謝料及び財産分与の合計額(=離婚給付)が目的価額となります。
③ 年金分割の合意
手数料は一律,1万1000円です。

第4 代理人による離婚給付等契約公正証書

□ 離婚給付等契約は財産上の給付の問題ですから,代理人により離婚給付等契約公正証書を作成することは可能です。
   この場合,委任者の①公正証書作成嘱託委任状及び②印鑑証明書を用意する必要があります。
□ 公正証書作成嘱託委任状は,訴訟代理の委任状と異なり,委任状の記載のみにより公正証書を作成できるものであることが求められます。
   よって,委任状の下に「契約条項」(離婚給付等の契約内容を具体的に条項科した書面)を付け,委任者が最後の頁まで毎葉(まいよう)に割印(袋とじの場合は契印)をすることが必要です。
□ 委任状の委任事項としては,以下のとおり記載します。
① 別紙記載の「契約条項」につき,債務不履行のときは直ちに強制執行に服する旨の陳述(強制執行認諾条項)を付した公正証書の作成を公証人○○○○に嘱託すること。
② 公正証書の送達その他の申請,証明書の受領,執行文の付与申請受領等に関する一切の権限
□ 委任状には,委任者の住所,氏名(自署),職業及び生年月日を記載し,実印を押印する必要があります。
□ 公正証書の作成に当たり債務者の代理人が公証人に対し債務者本人と称して嘱託をした上,証書に債務者本人の署名をした場合,当該公正証書は公正の効力を有せず,債務名義としての効力がありません(最高裁昭和51年10月12日判決)。
□ 公正証書の作成に当たり債権者の代理人が公証人に対し債権者本人と称して嘱託をした上,証書に債権者本人の署名をした場合,当該公正証書は公正の効力を有せず,債務名義としての効力がありません(最高裁昭和56年3月24日判決)。
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