家賃債務保証業

第1 家賃債務保証業者の権限

□ 家賃債務保証業者は通常,賃貸借契約の解除に関する代理権を持っていませんから,いわゆる追い出し行為については通常,そのための代理権を持っていないこととなります。
家賃債務保証業者は,賃借人に対し,求償権に基づき,滞納家賃の支払を請求できるにすぎません。
□ 家賃債務保証業者が代位弁済している場合,賃貸人との関係では家賃の滞納は存在しないことになりますから,法律的には,賃貸人に賃貸借契約の解除権はそもそも発生していないこととなります。

第2 家賃債務保証業者の禁止事項

□ 以下の文章は「家賃債務保証業務の適正な実施の確保について」(平成21年2月16日付の国土交通省住宅局住宅整備課長通知)からの抜粋ですが,家賃債務保証業については,現時点でも以下のような行為が禁止されています。
1 督促の方法について
賃貸が生じた場合等に家賃債務保証会社が文書の掲示等の手段により督促することを賃借人が承諾する旨の条項がある場合であっても、文書の内容や掲示の状況等によっては、名誉毀損罪にあたる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性もあると考えられる。
2 物件への立入りについて
一定の事由が発生した場合に家賃債務保証会社が物件に立ち入ることを賃借人が予め承諾する旨の条項がある場合であっても、当該立入りが、賃借人の意思に反する場合には、住居不法侵入罪にあたる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性があると考えられる。
また、このような条項は、どのような場合に立ち入ることになっているかという点にもよるが、公序良俗に反するとして無効となる可能性もあると考えられる。
3 物件の使用の阻害について
一定の事由が発生した場合に、物件の開錠を阻害する権限を賃借人が家賃債務保証会社に付与する条項や、家賃債務保証会社が物件の使用を禁止することができる条項がある場合であっても、賃借人の意思に反して開錠を阻害するなどの行為は、民事上の不法行為に該当する可能性があると考えられる。
また、このような条項は、どのような場合に権限を付与することになっているかという点にもよるが、消費者契約法第10条により無効とされる可能性もあると考えられる。
4 家賃債務保証会社による賃貸借契約の解除(解約の申入れ)について
一定の事由が発生した場合に賃貸借契約を解除する(賃貸借契約の解約の申入れをする)権限を賃借人が保証会社に付与する条項がある場合であっても、実際の権限の行為が賃借人の意思に反する場合には、権限の行使の効果が否定される可能性や、不法行為に該当する可能性があると考えられる。
5 物件内の動産の搬出、処分等について
賃借人の明け渡しが完了しない場合に、物件内の動産の搬出や処分をする権限を家賃債務保証会社に付与する条項や、賃借人が物件内の動産の所有権を放棄する条項がある場合であっても、賃借人の意思に反して物件内に立ち入って動産を搬出・処分する等することは、住居侵入罪等にあたる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性があると考えられる。
6 動産の保管に関する責任について
家賃債務保証会社が適法に保管できる場合であっても、家賃債務保証会社が保管する動産について紛失、毀損等が生じても家賃債務保証会社は一切の責任を負わない旨の条項は、消費者契約法第8条により無効とされる可能性があると考えられる。
7 損害賠償額等について
求償権の行使に当たって遅延損害金の額を定めている条項があるが、消費者契約法第9条により、遅延損害金の額の限度は、年14・6%であり、それを超える部分は、同条により無効となる。
8 事前求償について
家賃債務保証会社が事前に求償権を行使できる旨の条項は、行使できる要件が緩やかな場合や、事前の求償権の範囲が過大かつ広範な場合には、消費者契約法第10条や民法第90条等により無効とされる可能性があると考えられる。
9 その他
代位弁済等の手続の費用として弁済額の一定割合に相当する額を賃借人が支払う旨の条項は、手続に要する実費の額や、賃借人が支払う額などにもよるが、消費者契約法第10条等により無効とされる可能性があると考えられる。
家賃債務保証会社に賃貸人の訴訟代理権を与える旨の条項は、弁護士法第72条に違反する可能性があると考えられる。
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