破産管財人

第1 破産管財人の説明

□ 管財事件というのは,自己破産において破産管財人が選任される事件をいいます。
□ 破産管財人は,破産裁判所によって選任されます(破産法74条1項)。
□ 実務上,破産管財人に選任されるのは弁護士だけであります。
なお,弁護士は,正当な理由なく,法令により官公署から委嘱された事項を行うことを拒絶してはならない(弁護士職務基本規程80条)ものの,職務の公正を保ち得ない事由があるときは,その委嘱を受けてはなりません(弁護士職務基本規程81条)。
そのため,破産管財人は,対象となる破産事件と利害関係のない弁護士が就任します。
□ 破産管財人は,破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有します(破産法2条12号)。
□ 破産管財人は,裁判所が監督します(破産法75条1項。なお,裁判所書記官の権限につき破産規則24条)。
よって,破産管財人に対する苦情を裁判所に申告することはできます。

第2 破産管財人が選任される場合

□ 以下の場合,裁判所により破産管財人が選任されます。
□ ① 以下のいずれかの価値が,20万円を超える場合
(a) 普通預金を除く預貯金・積立金
(b) 保険解約返戻金
→ かんぽ生命を含む生命保険会社のほか,学資保険等の簡易保険に関する契約者貸付がある場合,貸付残高控除後の金額が基準になります(給与所得者等再生の場合につき福岡高裁平成15年6月12日決定参照)。
(c) 自動車
(d) 敷金・保証金返還請求権
→ 契約上の返還金から,滞納賃料の他,明渡し費用等を考慮して60万円を控除した金額が基準になります。
(e) 退職金債権
→ 支給見込額の8分の1が基準になります。ただし,退職してから退職金を受給するまでの間は4分の1(民事執行法152条2項参照)が基準になります。
(f) 電話加入権
(g) 過払金(弁護士費用等の「有用の資」を控除した後の額)
□ ② 現金,普通預金を含む預貯金,土地建物及び①の(a)ないし(e)の合計(「清算価値」といいます。)が99万円を超える場合
□ ③ 抵当権が設定されている土地建物に関して,被担保債権の残額が当該土地建物の固定資産評価額(毎年4月に市区町村役場から送られてくる,固定資産税・都市計画税の納税通知書に載っています。)の2倍を超える場合
□ ④ 個人事業を営んでいた場合(個人事業者型)
□ ⑤ 破産し,又は破産する予定の法人の代表者であった場合(法人代表者型)
□ ⑥ 破産に至る経緯なり資産の内容なりに疑義があり,破産管財人による調査が必要であると判断された場合(資産等調査型)
□ ⑦ 否認対象行為が存在し,破産管財人による否認権の行使が可能であるかどうかの調査が必要であると判断された場合(否認対象行為調査型)
□ ⑧ 免責不許可事由の程度が著しい結果,裁量免責(破産法252条2項)を受けるためには,破産管財人による免責不許可事由の内容についての調査,生活状況(主として家計収支)についての指導監督等が必要であると判断された場合(免責観察型)
□ 貸付金・求償金等については,原則として,額面額で評価します。
回収することが困難である場合,無価値と評価してもらえますものの,この場合,回収可能性が乏しいことを裁判所に説明する必要があります。
□ 破産者の雇用主からの借入金については,原則として相殺の対象となるものと考えられますから,退職金見込額から借入金を控除した金額に8分の1を乗じた金額を実質的価値と評価します(月刊大阪弁護士会24年8月号58頁)。

第3 破産管財人の源泉徴収義務

□ 弁護士である破産管財人は,その報酬につき,所得税法204条1項にいう「支払をする者」に当たり,同項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負います(最高裁平成23年1月14日判決)。
そして,弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権及び不納付加算税の債権は,財団債権に当たります(最高裁平成23年1月14日判決)。
□ 破産管財人は,退職手当等(退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与をいいます。)につき,所得税法199条にいう「支払をする者」に含まれず,破産債権である退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負いません(最高裁平成23年1月14日判決)。

第4 99万円以下の預貯金の取扱い等(平成29年9月30日までの取扱い)

□ 大阪地裁の取扱い上,破産者に合計で99万円以下の現金及び普通預金(通常貯金を含む。)しか財産がない場合,理論上は,「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する」場合(破産法216条1項)に該当するものとして,破産管財人は選任されません。
   なぜなら,99万円以下の現金は本来的自由財産と定められており(破産法34条3項1号),また,普通預金については,広く「財布代わり」に利用されているという社会実態にかんがみ,普通預金は現金に準じて取り扱われるために破産財団を構成しないからです。
□ 現金・普通預金以外の財産(例えば,生命保険の解約返戻金)については,項目ごとに実質的価値が20万円以上である場合,換価のコストを考慮しても資産性があるものとして取り扱われますから,その全額(20万円以上の超過額ではありません。)が按分弁済の対象となります。
   そのため,例えば,15万円の定期貯金1口と,10万円の定期預金1口がある場合,預貯金の合計額が20万円以上であるため,全額である25万円の按分弁済が必要となります。
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3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。