破産予納金

破産予納金

第0 目次

第1 同時廃止事件の破産予納金
第2 管財事件の破産予納金
第3 併存型における予納金
第4 第三者予納
第5 破産予納金の具体的な計算基準
第6 引継予納金を超える積立てを要求される場合

第1 同時廃止事件の破産予納金

1 大阪地裁の同時廃止事件の場合,破産予納金は1万584円です。

2 大阪地裁本庁における同時廃止事件の場合,破産予納金納付の流れは以下のとおりです。
(1) 大阪地裁「新館9階」にある大阪地裁第6民事部破産(同時廃止)受付係(1番カウンター)に対し,発券機で番号札をもらった上で,破産申立書を提出する。
(2)ア 受付係の簡単な審査を受けた後,事件番号が付いた受付印を破産申立書の控えに押してもらうとともに,事務連絡(お願い)及び保管金提出書(兼)還付金請求書を交付してもらう。
   この際,番号札は提示するだけですから,その後も所持したままとなります。
イ 事務連絡(お願い)には,本日の進行に関する説明等が書いてあります。
(3) 大阪地裁「新館1階」の大阪地裁事務局出納第一課の③のコーナー(保管金・保釈保証金)に対して保管金提出書(兼)還付金請求書を提出し,なるべくおつりが出ないように1万584円の現金を支払った後,発券機で番号札をもらう。
(4)ア 番号札と引き換えに,②のコーナーから保管金受領証書を交付してもらう。
イ この時に返却する番号札は,(2)の番号札とは異なります。
(5)ア 保管金受領証書を受付係(2番カウンター)に提出する。
イ 即日審査対象事件の場合,受付係に保管金受領証書の原本を提出し,受付係にコピーを作成してもらった後,受付係からコピーを返してもらいます。
   これに対して即日審査対象事件でない場合(例えば,実質債務額が1000万円以上の場合),受付係に保管金受領証書の原本を提出し,受付係にコピーを作成してもらった後,受付係から原本を返してもらいます。
ウ (2)の番号札は返却を求められませんから,その後も所持したままとなります。

3 平成29年11月現在,大阪地裁「新館1階」の大阪地裁事務局出納第一課で破産予納金を現金で納付した場合,<ご協力ください>と題して,以下の記載がある紙を渡されます。
   お釣りは,当日裁判所窓口で納付された保管金からお渡しするため,納付の状況によりお釣りの準備ができない場合があります。
   保管金を裁判所窓口で納付される際は,保管金提出書に記載された金額をご用意いただきますようお願いします(複数の事件の保管金をまとめて納付される場合は,合計金額で納付いただいて構いません)。

4 月刊大阪弁護士会2018年5月号19頁に,「裁判所からの要望事項等」として以下の記載があります。
【同時廃止事件に関するもの】
1.申立ての時間帯について
   同時廃止事件の申立てについては,午前11時30分までに発券機で番号札を取ってください。それ以降は即日審査の対象にはなりません。即日審査を希望しない場合は大気不要となりますので,申立書提出時にその旨をお伝えください。
   なお,保管金納付につき,会計課の窓口は午前12時までとなっております。
   おって,午前11時前後の時間帯は申立てが多く,大変込み合いますので,なるべくこの時間帯における申立ては避け,早めの時間帯に申し立てていただくようお願いいたします。毎月月末の数日についても同様であり,なるべくこの時期を避けて申立ていただくようご協力をお願いします。
2.同時廃止係への問い合わせについて
   同時廃止係の職員は,午前中はいずれも受付ないし書面審査事務に就いております。即日審査の運用を実効的なものにするためにも,同係への電話による問い合わせをされる場合には,なるべく午後にしていただくようご協力をお願いします。

第2 管財事件の破産予納金

1 大阪地裁では,破産管財人が選任される自然人の管財事件の場合,合計で218,834円以上の破産予納金が別途,必要になります(破産法22条1項,破産規則18条1項参照)ところ,その内訳は,以下のとおりです。
① 裁判所に対する予納金
→ (a)自然人の場合,13,834円であり,(b)法人の場合,13,197円です。
② 破産管財人に対する引継予納金
→ 20万円以上です。
   大阪地裁では,平成16年11月に引継予納金の取扱いが始まりました。
③ 郵券代替分引継予納金
→ 債権者数が50名以下の場合,5,000円です。

2(1) 法人の管財事件において,破産管財人に対する引継予納金を20万円にしてもらうためには,破産手続開始の申立てまでに,最低限,①事業用賃借物件の明渡しを完了していること,及び②従業員を解雇していることが必要となります。
(2) 事業用賃借物件の明渡しが完了していない場合,原状回復費用の見積書を提出する必要があります。

3 債権者数が100名を超える場合,破産管財人に対する引継予納金は,法人で50万円以上となり,自然人で30万円以上となります。

4 破産予納金を納付できない場合,破産手続開始決定を出してもらえません(破産法30条1項1号参照)。

第3 併存型における予納金

1 ①法人及びその代表者,並びに②夫婦が,同時に,又は近接した時期に破産手続開始の申立てをした場合,その一方に資産がほとんど存在せず,訴訟の必要等も存しない場合,基本事件の引継予納金を最低額の20万5000円とし,もう一方の事件の引継予納金を5000円とするものです。
   併存型は例外的措置であるため,法人及びその代表者,並びに夫婦の場合に限定した運用とされています。
   そのため,例えば,①法人及びその元代表者,②法人及び平取締役,並びに③親子が同時に破産手続開始の申立てをした場合,原則どおり,それぞれについて20万5000円が必要となります。

2 法人,その代表者,及び代表者の妻の3名が破産手続開始の申立てをする場合,法人及びその代表者は併存型として取り扱われますものの,代表者の妻については別途,20万5000円の引継予納金が必要となります。

第4 第三者予納

1 裁判所の第三者予納許可決定を得て親戚等の第三者に予納金を納付してもらった場合,当該第三者の予納金償還請求権は,破産法148条1項1号の財団債権に該当します。
   そのため,①破産裁判所の受付で財団放棄の上申書を書かされることなく,かつ,②破産者が手元に残せる99万円及び破産管財人の報酬を控除した後で余りがある場合に限り,後日,当該第三者は返金してもらえます。
 
2 第三者の予納金償還請求権は,破産債権ではない点で免責許可決定の対象ではありません(破産法253条1項)から,免責許可決定を受けた後に返済することができます。

第5 破産予納金の具体的な計算基準

1 高松地裁の場合
(1)ア 高松地裁HPの「破産手続開始申立事件に関する予納金等基準表」によれば,管財人への引継予納金は,廃止見込み事案の場合,自然人であれば33万円以上,法人であれば43万円以上となっています。
イ   加算事由は,①債権者申立又は準自己破産の場合,②従たる営業所がある場合,③所有不動産が主たる営業所所在地又は現在居所と異なる市町村に所在する場合,④明渡し未了の賃借不動産がある場合(ただし,債務者が自然人の場合の債務者及び債務者の扶養親族の現住居所は除く。)となっています。
    減算事由は,①回収可能性の高い預貯金,保険解約返戻金,供託金がある場合(ただし,換価基準内のもの及び自由財産の範囲の拡張申立てをしているものは除く。),②回収可能性の高い売掛金がある場合,③法人とその代表者の同時申立ての場合,④夫婦の同時申立ての場合となっています。
(2)   少額管財事件に該当するときは,法人又は自然人単独の場合,20万円であり,法人と代表者の同時申立の場合,30万円です。
(3) 同時廃止事件の場合,1万584円です。

2 横浜地裁の場合
(1) 横浜地裁HPの「破産・免責申立手続事件の郵券・予納金・収入印紙一覧表」によれば,管財人への引継予納金の最低額は20万円となっています。
(2) 大規模管財事件(債権者100名以上)の予納金は,法人の場合は70万円以上,個人の場合は50万円以上となっています。
(3) 同時廃止事件の場合,1万584円です。

第6 引継予納金を超える積立てを要求される場合

1 大阪地裁の取扱い
(1) 破産管財人は,原則として,引継予納金額以上の積立は求めてきません。
   しかし,免責不許可事由に該当する行為の内容や程度,現在の収入及び支出の状況等を勘案して,裁量免責事情の保管のためには更なる積立てを行って,債権者に按分弁済を行うことが必要かつ可能と判断した場合,追加積立てを破産者に指示してくることがあります。
(2) 追加積立てを要するものと判断した破産者から自由財産拡張の申立てがされた場合,破産管財人が,当該破産者に対し,上記積立てを要するという理由で,当該申立て自体を取り下げさせることはできません。
   なぜなら,自由財産拡張制度と裁量免責制度とは制度趣旨が異なる制度であり,これらを連動させることは妥当でないからです。

2 東京地裁の取扱い
(1) 東京地裁では,大阪地裁と異なり,以下の考え方に基づき,引継予納金額以上の積立は求めてくることはありません。
(2) 破産・民事再生の実務(中)310頁及び311頁に示された東京地裁の取扱いを紹介すると,以下のとおりです。
① 東京地裁破産再生部では,免責不許可事由があって免責の許否が問題となる場合,同時廃止の決定後,破産者に自由財産から一定額(負債額の約数%から10%まで程度)を積み立てさせて,債権者に対して按分弁済させた上で裁量免責の決定をするという運用をしていた時期がありました。
   しかし,この運用は,(a)債務者にとって免責審理が長期化する,(b)債権者にとっても債権償却が迅速にできない,(c)一定額での免責はモラルの低下を招来しかねないなどという問題点が指摘されていました。
   そのため,いわゆる少額管財の制度が導入され,破産管財人による免責に関する調査及び破産者に対する指導が行われるようになったことともあいまって,平成11年9月以後は免責のための積立指示を行わない扱いとしています。
② 免責のための積立てとは異なりますものの,破産者に免責不許可事由がある場合で,破産債権者に対する配当を少しでも増やすため,破産者が自由財産などから一定の金員を破産財団に組み入れるといった対応をした場合,それを裁量免責の一つの事情として考慮することができるかという問題があります。
   破産財団の増殖に対する破産者の協力の態度等といった事情も,一般的には裁量免責の判断の際に考慮すべき事情の一つとはいえますものの,ここで財団組入の事実を裁量免責に当たって重視することになると,財団組入の可能な者だけがいわば金銭によって免責許可を得るといった結果になりかねません。
   そこで,破産者が任意に財団組入をしたとしても,だからといって直ちに裁量免責が可能となるといった関係にはないことを踏まえて,基本的には免責許可を目的とした安易な財団組入は認めるべきではないものと思われます。
1(1) 交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。