再生手続開始決定と訴訟手続及び強制執行手続との関係

第1 再生手続開始決定と訴訟手続との関係

□ 個人再生の場合,自己破産において破産管財人が選任された場合と異なり,自己の財産の管理処分権を失いません(民事再生法38条1項)。
   ただし,再生手続が開始された場合,再生債務者は,債権者に対し,公平かつ誠実に,自己の財産の管理処分権を行使し,再生手続を追行する義務を負います(民事再生法38条2項)。
□ 個人再生の場合,①保全処分(民事再生法30条)なり,②再生債務者の行為について裁判所の許可を要する旨の決定(民事再生法41条)なりが発令されることは運用上,ありません。
□ 通常の民事再生の場合,実体的な債権確定手続が存在することから,「再生債務者の財産関係の訴訟手続」のうち「再生債権」に関するもの(例えば,再生債務者に対する貸金返還請求訴訟)は中断します(民事再生法40条1項)。
   また,裁判所の保全管理命令があった場合も同様に中断します(民事再生法83条3項・67条2項前段)。
   しかし,個人再生の場合再生手続開始決定があったとしても,再生債務者の財産関係の訴訟手続のうち再生債権に関するもの(例えば,再生債務者に対する貸金返還請求訴訟)も含め,訴訟手続の中断は生じません(民事再生法238条及び245条が40条の適用を排除しているため。)。
   よって,再生債務者は,再生手続開始決定が出た後も,自ら引き続き訴訟を遂行することになります。
□ 個人再生手続における再生債権の調査では,再生債権の実体的な確定を目的とせず,議決権の額(通常は再生債権の額と同じです(民事再生法230条8項参照)。),最低弁済額等の算定の基礎となる再生債権の額及び担保不足見込額をあくまでも再生手続内で確定することを目的としています。
   そのため,再生債権の額又は担保不足見込額について,一般異議申述期間内に,再生裁判所に対し,書面による異議があった場合(民事再生法226条1項,民事再生規則121条),一般異議申述期間の末日から3週間以内に,再生債権の評価の申立て(民事再生法227条)を行うことにより,再生裁判所に,再生債権の存否及び額又は担保不足見込額を定めてもらうことになりますものの,この手続を経たとしても,再生債権が実体的に確定するわけではありません。
   つまり,再生計画案の定めた減免率や支払方法には実体法上効果がありますものの,再生計画案の定めた再生債権の額自体には実体法上の効果はないのであって,再生債権を実体的に確定させるためには通常の訴訟手続による必要があるということです。
□ 訴訟手続一般に関しては,「弁護士依頼時の一般的留意点」「陳述書」「証人尋問及び当事者尋問」を参照して下さい。 

第2 再生手続開始決定と強制執行手続との関係

□ 再生手続開始決定の前に給与差押えがなされている場合,再生手続開始決定正本及びこれを停止文書とする旨の上申書を執行裁判所に提出することで,再生債務者の財産との関係で執行手続は中止されます(民事再生法39条1項(同条項の「強制執行等」の意義につき,民事再生法26条1項2号),民事執行法39条1項7号。)。
   また,申立てをしてから,再生手続開始決定があるまでの間は,裁判所に対し中止命令を発令してもらい(民事再生法26条1項柱書本文),中止命令正本及びこれを停止文書とする旨の上申書を執行裁判所に提出することで,再生債務者の財産との関係で執行手続は中止されます(民事執行法39条1項7号)。
□ 給与差押えの手続が中止されたとしても,給与の4分の3を超える額の支払は留保されたままになります(民事執行法152条1項2号参照。なお,大阪地裁の運用上,給与の4分の1を強制的に積立させるという趣旨で,民事再生法39条2項後段の取消命令はなかなか発令してもらえません。)。
   そのため,再生計画の認可決定が確定した時点で,再生計画認可決定正本及び確定証明書並びにこれを取消文書とする旨の上申書を執行裁判所に提出することで,執行処分は取り消されます(民事再生法184条本文,民事執行法39条1項6号・40条1項参照)。
   そして,取消文書に基づいて執行処分が取り消された場合,執行抗告ができません(民事執行法40条2項・12条)から,この時点で,勤務先にプールされていた給与を含め,給与の全額を受け取ることができるようになります。
□ 強制執行一般に関しては,「判決に基づく強制執行」を参照して下さい。 
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