公的年金等の取扱い

第1 公的年金と自己破産との関係

□ 自己破産をしたとしても,以下の公的年金は,括弧内の条文に基づき差押禁止債権とされていますから,全く影響を及ぼすことはありません(差押禁止債権が破産財団に属しない旨を定める破産法34条3項2号参照)。
① いわゆる1階部分の年金(=基礎年金)
(a) 国民年金(国民年金法24条)
② いわゆる2階部分の年金
(a) 国民年金基金(国民年金法133条・24条)
(b) 厚生年金(厚生年金保険法41条1項)
→ 会社員の年金です。
(c) 共済年金(国家公務員共済組合法49条等)
→ 公務員の年金です。
③ いわゆる3階部分の年金
(a) 厚生年金基金(厚生年金保険法136条・41条1項)
(b) 確定拠出年金(確定拠出年金法32条1項)
(c) 確定給付企業年金(確定給付企業年金法34条1項)
(d) 小規模企業共済(小規模企業共済法15条)
(e) 中小企業退職金共済(中小企業退職金共済法20条)
(f) 特定業種退職金共済(中小企業退職金共済法51条前段・20条)
→ 建設業退職金共済(建退共),清酒製造業退職金共済(清退共)及び林業退職金共済(林退共)があります。
(g) 退職共済年金の職域加算額(国家公務員共済組合法49条等)
□ 3階部分の年金のうち,以下の年金については民事執行法所定の差押禁止債権に当たりませんから,退職金の4分の1の額は債権差押えの対象となります(民事執行法152条2項)。
① 適格退職年金契約(平成13年11月30日政令第375号。平成14年4月1日施行)による削除前の法人税法施行令159条の他,法人税法84条1項・同法附則20条3項参照)に基づいて支給される退職年金又は退職一時金
→ いわゆる適格退職年金のことです。
② 特定退職金共済団体(所得税法施行令73条1項参照)が行う退職金共済制度
→ いわゆる特定退職金共済制度のことです。

第2 簡易生命保険と自己破産との関係

□ 簡易生命保険法(昭和24年5月16日法律第68号。昭和24年6月1日施行)に基づく簡易生命保険(=簡易保険,簡保)は,平成19年10月1日の郵政民営化の前日まで販売されていました。
なお,簡易生命保険の制度は,簡易生命保険法(大正5年法律第42号)に基づき,大正5年10月1日に創設されました。
□ 簡易生命保険法に基づく簡易生命保険としては,①終身保険,②定期保険,③養老保険,④家族保険,⑤財形貯蓄保険,⑥終身年金保険,⑦定期年金保険及び⑧夫婦年金保険がありました(簡易生命保険法8条)。
□ 平成3年3月31日までに効力が発生した簡易生命保険の保険金及び還付金(=解約返戻金)は差押禁止債権とされています(当時の簡易生命保険法50条,及び平成2年6月27日法律第50号附則2条5項)。
□ 平成19年9月30日までに効力が発生した簡易生命保険の①死亡保険金及び②年金を受け取るべき権利は差押禁止債権とされています(簡易生命保険法81条1項)し,毎月の年金の半額は差押禁止債権とされています(簡易生命保険法82条2項,及び平成17年10月21日法律第102号附則16条1項)。

第3 公的年金と,国税徴収法所定の滞納処分との関係

□ 公的年金は,国税徴収法所定の滞納処分に基づく差押えとの関係では,①障害基礎年金・遺族基礎年金,及び②障害厚生年金・遺族厚生年金を除き, 最低生活費(国税徴収法76条1項4号)の3ヶ月分程度の金額しか差押禁止債権とはされていません(国税徴収法76条4項参照)。
なお,最低生活費の金額は,単身者の場合,1ヶ月10万円であり,生計を一にする親族が1人増えるごとに1ヶ月4万5000円が追加されるだけです(国税徴収法施行令34条)。
□ ①適格退職年金,及び②特定退職金共済制度についても,国税徴収法所定の滞納処分に基づく差押えとの関係では,最低生活費の3ヶ月分程度の金額については,退職手当等に該当するものとして差押禁止債権とされています(①につき国税徴収法77条1項・国税徴収法施行令35条1項及び2項に基づき,②につき国税徴収法77条2項・国税徴収法施行令35条3項10号)。

第4 簡易生命保険と,国税徴収法所定の滞納処分との関係

□ 平成3年3月31日までに効力が発生した簡易生命保険の保険金及び還付金(=解約返戻金)は,国税徴収法所定の滞納処分に基づく差押えとの関係でも,差押禁止債権とされています(当時の簡易生命保険法50条,及び平成2年6月27日法律第50号附則2条5項)。
□ 平成19年9月30日までに効力が発生した簡易生命保険の①死亡保険金及び②年金を受け取るべき権利は,国税徴収法所定の滞納処分に基づく差押えとの関係でも,差押禁止債権とされています(簡易生命保険法82条2項,及び平成17年10月21日法律第102号附則16条1項)。
ただし,毎月の年金の全額が国税徴収法所定の滞納処分に基づく差押えの対象となります(簡易生命保険法82条2項,及び平成17年10月21日法律第102号附則16条1項)。
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